2010年3月11日(木)「しんぶん赤旗」
競馬場に銀行ATM
「借金で馬券」助長
日本中央競馬会(JRA)の競馬場、場外馬券売り場に銀行ATM(現金自動預払機)が設置されている問題で、ATMを設置している各銀行が「顧客の利便性向上のため」、「撤退の考えはない」という態度をとっていることが10日、本紙の調べで明らかになりました。
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JRAの施設内に銀行ATMが設置されているのは、全国に10ある競馬場のうち中山、東京、京都、阪神の4競馬場。38カ所ある場外馬券売り場では、東京都文京区の「ウインズ後楽園」に設置されています。
ATM設置銀行は、阪神競馬場とウインズ後楽園に自行のATM出張所を置いているのが「りそな銀行」。その他の競馬場のATMは、コンビニエンスストアなどにATMを展開している「イーネット」です。
イーネットATMは、同社と提携しているすべての銀行の共同出張所という位置づけで、ATMごとに代表として管理する銀行を取り決めており、現在の管理行は三菱東京UFJ、みずほ、三井住友、千葉の4行です。
競馬場内銀行ATMでは三菱東京UFJ、みずほ、三井住友の三大メガバンク、ゆうちょ銀行をはじめ、全国のほとんどすべての銀行のキャッシュカードが利用可能です。さらに、各種クレジット会社やサラ金業者のカードも使用でき、借金をして馬券を買うことを助長しかねません。
競馬場に初めてATMが設置されたのは2001年です。当時から、競馬場内で簡単に現金が引き出せるため予定以上の過大な馬券購入につながるという批判が強く、JRA内でも消極的な意見がありました。
そのため「試行」として中山競馬場に設置されたイーネット端末は、預金の出し入れだけをおこなうキャッシュディスペンサー(CD=現金自動支払機)でした。
その後、「利用者のニーズ」を理由に、設置個所や機能が順次拡大されました。
本紙は、ATMを設置している各銀行に(1)金融機関の社会的責任から競馬場内はATM設置場所にふさわしいか(2)借金をしてまでの馬券購入を助長しないか(3)撤去をかんがえないか―を問い合わせました。
各行は、「お客さまの利便性向上のため」「撤退の予定はない」などと回答しています。(表)
「撤去の考えない」
JRA報道室の話 お客様からのニーズ(要望)を受け、施設内の利便性向上のためにATMを設置している。過大な馬券購入や借金をしての馬券購入を助長することはなく、撤去する考えはない。
クレジット購入も解禁方針
日本中央競馬会(JRA)は8日、クレジットカードを利用して馬券を購入できる新制度「JRAダイレクト」を来春から開始すると発表しました。JCB、三井住友、UCカードが対応の予定。
インターネット利用での購入に限り、銀行口座の残高を気にせず馬券を買えるようになるといいます。
開始時期は、宝くじ並みの高配当で射幸心をあおると批判されている「5重勝単勝式」馬券の発売と同時を目指すとしています。
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