2010年3月7日(日)「しんぶん赤旗」
走行中 「ハンドル動かない」
プリウス ユーザーが告発
トヨタ こっそり修理か
走行中、突然ハンドルが動かなくなった―。ブレーキの欠陥でリコール(回収・無償修理)となったトヨタ自動車の「プリウス」をめぐり、リコールに相当する欠陥がこっそり修理されていたのではないか? という新たな疑いがユーザーの告発で浮上しました。(遠藤寿人)
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訴えているのは埼玉県草加市の男性(66)。2年前、中古車販売会社で、初代プリウス(2001年3月登録)を購入。走り始めのジェット機のような「クーン」という静かな音や、燃費の良さが気に入っていました。運転免許は40年前に取得し、6台目の車です。
ハンドル操作が不能になる事故は昨年3回起きました。
いずれも走行中に、ハンドルが「固まる」状態になり、操作できなくなりました。エンジンを切るなどして車を止めたといいます。
当時の様子をメモに残していた男性は「恐怖だった。対向車がなかったので衝突は免れたが全くハンドルが動かなかった」といいます。
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車は、トヨタの販売店で無償修理されました。1回目は電動パワーステアリング(パワステ)のモーターを交換、2回目はパワステ制御コンピューターをそっくり交換しました。
怖い体験でしたが、男性は「部品が新しくなった」と、どこにも訴えていませんでした。
国土交通省自動車交通局によると、初代プリウスのハンドル操作について、ユーザーから同省へ寄せられた苦情は26件。トヨタから同省へは9件あります。「ハンドルが急に重くなった」「ハンドルが振動した」などです。同省は現時点でのリコールを否定しています。
日本共産党の穀田恵二衆院議員の話 危険な車をいち早く止めることが肝要だ。リコールの届け出をメーカーの自主性に任せている制度を改め、国土交通省が欠陥車をしっかり調査し、リコール命令を出せる権限を同省に付与することが大事だ。そのためにも国会でこの間、指摘してきたように、独立行政法人の交通安全環境研究所リコール技術検証部の体制の強化が求められている。
電動パワーステアリング 電気でモーターを回し、電気エネルギーでハンドルを回す力を補助する部品。補助力の量や方向などはコンピューター制御されています。
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