2010年3月6日(土)「しんぶん赤旗」
自衛官 人権裁判シンポ
隊内の隠ぺい体質 告発
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「自衛官の人権裁判シンポジウム」が4日、札幌市内で開かれました。自衛隊内で多発するいじめ自殺や性暴力事件の真相究明、人権と尊厳の回復をめざそうと4件の自衛隊裁判の関係者が初めて一堂に会して交流。自衛官の人権裁判全国弁護団連絡会議結成を確認しました。
海自護衛艦「たちかぜ」で先輩隊員によるいじめが原因で21歳の隊員が自殺した「たちかぜ」裁判、空自基地での女性自衛官セクシュアルハラスメント裁判の両弁護団が主催。道内外から支援者ら80人が参加しました。
両弁護団と、▽海自護衛艦「さわぎり」の乗員が隊内でのいじめに耐えられず自殺、国の安全配慮義務違反を追及、国家賠償請求訴訟で勝訴したさわぎり裁判▽空自浜松基地でイラク派兵から帰還後に自殺した隊員の両親が「自殺は隊内のいじめが原因」と国を相手に国家賠償請求訴訟中の浜松基地自衛官人権裁判の各弁護団が報告、問題提起しました。
各弁護団はそれぞれの裁判で明らかになった陰湿で、被害者を死に追いやるいじめのリアルな実態、これを放置する自衛隊の安全管理義務違反の構造、被害者を救済するのではなく逆に退職強要や「加害者」扱いするなどの組織的な隠ぺい体質―を告発しました。
パネルディスカッションでは、自衛隊内にはびこる暴力的な私的制裁(リンチ)を温存する体質の根本に何があるのか、憲法違反の自衛隊の存在と自衛隊員の人権を守ることの意義についても討論。暴走する海外派兵をやめさせるためにも自衛隊員との対話が重要との発言もありました。
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