2010年3月5日(金)「しんぶん赤旗」

主張

米軍機低空飛行

米国では許されない無法行為


 米軍機が全国各地で低空飛行訓練をくりかえしています。この5年だけでも、北は北海道から南は鹿児島まで実に24都道県の住民から騒音などへの抗議の声があがっています。

 住民が防衛省などを通じて訓練の中止を求めているだけでなく、昨年11月には広島県知事が、今年2月には群馬県知事が、政府に低空飛行の中止を要求しています。住民の暮らしと安全を守るためには低空飛行訓練自体をやめさせる以外方法がないのは明らかです。政府は自治体・住民の願いに応えて、低空飛行訓練をやめさせるために力をつくすべきです。

「ものすごい恐怖」

 米軍機がいきなり現れて、頭上からふりそそぐごう音は、まさに「音による拷問」です。低空飛行訓練は住民に「心臓が破れる」というほどの苦痛と恐怖を与えています。自公政権でさえ「ものすごい恐怖」(2008年4月、石破茂防衛相=当時)と認めたほどです。住民に恐怖を与えていることがわかっているにもかかわらず、政府が低空飛行訓練の中止を求めていないのは、筋が通りません。

 日本政府や米軍は、日本の航空法が規定する「最低高度基準」を米軍機が守っているといいます。航空法は人口密集地では300メートル以下、それ以外は150メートル以下の飛行を禁止しています。しかしこの規定は、戦闘機や旅客機を想定したものではなく、「取材や遊覧飛行などを行うヘリコプターなどが行う低空飛行の安全性を確保することを主な目的」(昨年7月1日衆院外務委員会、関口幸一・国交省航空局次長)にしているものです。この規定を、高速で大きな爆音をまきちらす軍用機の低空飛行訓練の正当化の根拠にするのは間違っています。

 しかも最低飛行高度以下の違法な低空飛行訓練も行っていることは、多くの証言が示しています。たとえ300メートルすれすれであれ、「音による拷問」であることに変わりはありません。それを国民にいつまでも押し付けるのは、国民の暮らしと安全を守るべき政府がやるべきことではありません。

 そもそも、訓練ルートさえ明らかにせず、日本全国を自由勝手に米軍機が低空飛行訓練していること自体が異常です。米国内ではあらかじめ公表されている国防総省の軍事訓練ルートのなかでしか低空飛行はできません。米国内では住宅地上空や都市上空での低空飛行訓練そのものが許されていません。高度制限もあります。

 米国内では「野生生物」への影響まで事前に調査して訓練ルートを規制するのに、日本では国民への影響さえ考慮せず飛んでいます。米軍機の低空飛行訓練は米国内ではとうてい許されない無法行為です。中止は当然です。

「対等」いうなら交渉を

 オバマ大統領は日米関係について「対等なパートナー」といっています。そうであるなら日米間の異常な従属関係をただし、米国内では許さない無法な低空飛行訓練をただちにやめさせるべきです。

 鳩山由紀夫首相も「対等な日米関係」という以上、米政府に低空飛行訓練の中止を要求すべきです。住民が切望する無法な低空飛行訓練の中止でさえ米政府に要求できないようでは、「政治を変えたい」という国民の願いに応えることができません。



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