2010年3月4日(木)「しんぶん赤旗」
北・東富士陸自演習場 米軍が優先使用権
年間最大270日 米解禁文書で判明
|
米軍と自衛隊が共同使用している陸上自衛隊の北富士演習場(山梨県)と東富士演習場(静岡県)について、米軍が年間最大270日優先使用できる密約を日米間で交わしていたことが、機密指定解除された米軍文書「在日米軍コマンドヒストリー・1965年版」で明らかになりました。
日本共産党の紙智子議員が2005年3月7日の参院予算委員会で東富士での米軍の優先使用の実態を追及しており、これを裏付けるものです。
「コマンドヒストリー」は、当時の政治的焦点だった「富士演習場」(北富士・東富士)の「解放」=米軍による占有から自衛隊管理への転換に関して記述しています。
|
それによれば、「日本政府の管理下に解放される土地に関して、米軍による小規模宿営地の獲得と、年間270日の演習を行う権利のための協定案が62年3月以来、存在している」とした上で、協定案は「(北富士と東富士の)全域を解放するために準備してきたもの」だと明記しています。
紙議員が予算委員会で配布した62年3月2日付の米軍資料「富士演習場解放に関する協定案」は「FAC3123(北富士演習場)と3127(東富士演習場)の解放を好意的に考慮する」と明記。付属文書「了解合意覚書」で、米軍は(1)年間270日、優先使用できる(2)優先使用中は演習場の最大65%を使用できる(3)年間最大30日、全区域を使用できる―との条件を提示しています。
両演習場は地続きで富士山のすそ野に広がっています。日米地位協定2条4項b(別項)に基づいて自衛隊が管理する基地ですが、「自衛隊が主で米軍が従」という日本政府の説明に反して、米軍の優先権を確保しようという狙いです。
日米地位協定2条4項b 在日米軍基地には、(1)米軍が占有(2)米軍が管理し、自衛隊と共同使用(3)自衛隊が管理し、米軍が共同使用―の3種類あります。このうち2条4項bは(3)に関する規定です。