2010年3月3日(水)「しんぶん赤旗」
「胆沢」受注企業ズラリ
小沢氏の政治団体「宮城一政会」
728社 談合組織の疑い
笠井議員が追及
日本共産党の笠井亮議員は衆院予算委員会で2日、民主党の小沢一郎幹事長の関連政治団体が東北地方の公共事業の事実上の談合組織だったのではないかという、新たな疑惑を追及しました。
笠井氏が取り上げたのは、1996年に任意団体として設立、2006年に政治団体として届け出し、09年に西松建設事件で小沢氏の公設第1秘書・大久保隆規被告が逮捕された後に解散された「宮城一政会」。
所在地は小沢氏の資金管理団体「陸山会」が所有する仙台市青葉区内のマンションと同じです。
笠井氏は「宮城一政会」の会員名簿を提示。2月17日の予算委員会で、笠井氏が追及した岩手県の胆沢(いさわ)ダム談合告発情報に名前のあがっていた鹿島、大成建設、水谷建設をはじめ、本体工事を受注したすべてのゼネコンや建設業者など、のべ728社が名を連ねているとし、鳩山由紀夫首相に「こうした小沢氏とゼネコンの関係をどう思うか」とただしました。
鳩山首相は、「宮城一政会に対して公共事業受注企業からさまざまな資金提供があったのかなと思うが、正確には把握していない」と答えました。
笠井氏はさらに、名簿には、胆沢ダムの談合の仕切り役とされる鹿島東北支店元幹部、山崎建設など本体工事の下請け工事を受注した業者の名前も出てくると指摘しました。
笠井氏は、胆沢ダム本体工事の受注企業から約3千万円の献金があった事実も示し、「胆沢ダム工事を受注したゼネコンらが政治団体をつくって、小沢氏側に多額の献金を行っている。重大問題だ」と鳩山首相に迫りました。
鳩山首相は「公共事業受注企業から多額の献金を受けるのは必ずしも適当ではない」と答えざるをえませんでした。
笠井氏は、「宮城一政会は談合組織と見られても仕方ない実態がある」と指摘。「小沢幹事長側が談合疑惑のあるゼネコンらと密接な関係を持ち、不正に得た利益を還流させている疑いがある」とのべ、小沢氏をはじめ3人の起訴された秘書・元秘書の国会喚問と、徹底審議を求めました。
「宮城一政会」
発足当初から憶測呼ぶ
「小沢一郎氏の政治的、社会的活動に賛同する会員相互の親睦(しんぼく)と研鑽(けんさん)を図り…」
宮城一政会が1996年ころに作った入会案内のしおりの一節です。小沢氏は当時、新進党の党首。
「支援の輪を拡大して参りたい」と書かれたしおりには、設立発起人代表として、山形、岩手両県の会社役員2人の名前が並んでいました。同会規約によると、年会費1万円の個人会員制となっています。発足前から千人もの入会申し込みがあったといいます。
会の目的は何なのか―。同会の発足は当時から宮城県政界でさまざまな憶測を呼んでいました。「後援会を他県に拡大しただけなのか、衆院選の比例区選挙に向けた拠点づくりなのか、いまのところ、狙いもはっきりせず」(毎日新聞宮城県版96年2月4日付)と報じています。