2010年3月3日(水)「しんぶん赤旗」
白リン弾使用 国認める
大分・日出生台で米軍演習
在沖縄米海兵隊が2月上旬に強行した大分県・陸上自衛隊日出生台(ひじゅうだい)演習場での155ミリりゅう弾砲実弾砲撃演習で、残虐兵器として国際的な使用規制の声が高まっている白リン弾を使用していたことが2日までに分かりました。本紙の問い合わせに九州防衛局が、認めました。
この問題では、演習を指揮した米軍中佐が先月、一部報道機関に発煙弾M825の使用を明らかにしていました。M825砲弾は白リン弾の一種で、本紙に九州防衛局は、「(M825に)白リンが含まれているが、その量は少量であると米側から聞いている」と回答してきました。
日出生台での演習(10日間)で撃ち込まれた砲弾603発のうち39発がM825だとみられています。
米軍装備に詳しい沖縄県平和委員会の大久保康裕さんは「敵の目をさえぎる煙幕などの役割をもつ発煙弾の一種だが、攻撃される側にとっては白リンの焼夷(しょうい)効果が“人間の骨まで焼き尽くす”深刻な被害をもたらす」と指摘します。
2月3日にM825炸(さく)裂の模様をビデオ撮影した大分県平和委員会の遠入健夫さんは「7発のM825と交互に、りゅう弾数発が撃ち込まれた。実戦さながら、やりたい放題だった。火災が発生し周辺の枯れ野を焼いた」と振り返りながら、「演習の拡大は許せない」と怒っています。
白リン弾 空中で炸(さく)裂し、白リンを含んだ116個のフェルトの破片を地上にばらまく、残虐兵器です。破片は空気にふれると自然発火し、煙を発生。発煙弾に分類されますが、白リンは人間の体に付着すると皮膚や肉だけでなく骨までも焼きつくします。2004年、米軍によるイラク・ファルージャ攻撃、08年〜09年のイスラエルのガザ攻撃などで民間人への深刻な被害が報告され、大きな国際的批判が起きています。
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