2010年3月3日(水)「しんぶん赤旗」

嘉手納で爆音被害増

有事想定か 増える外来機

過去最大級の演習


 「極東最大の空軍基地」と言われる沖縄・米空軍嘉手納基地(嘉手納町、北谷町、沖縄市)。2月22日から26日まで行われた日米共同訓練の期間中、嘉手納町内では過去10年間で最悪の108・8デシベルを測定するなど、爆音被害が深刻化しています。この数値は鉄道のガード下での100デシベルを大きく上回ります。同基地以外に所属する「外来機」の急増が最大の原因です。(竹下岳)


 「これまでで最大規模の演習だ」。嘉手納基地・第18運用群のバンクス司令官は、抗議に訪れた嘉手納町議会の田仲康栄基地対策特別委員長(日本共産党)らを前に、誇らしげに語りました。

早朝深夜にも

 嘉手納町によると、共同訓練ではF16戦闘機が米アラスカ州から10機、米空軍三沢基地(青森県)から6機飛来。米海兵隊岩国基地(山口県)からFA18戦闘攻撃機が4機、韓国・烏山からA10攻撃機が7機飛来。これに自衛隊機が加わり早朝から深夜まで訓練を繰り返しました。

 23、24両日には、嘉手納町屋良で日中の環境基準値を超える70デシベル以上を151回記録しました。2008年度の平均110回を大きく上回る回数です。

 もともと、嘉手納基地は日本国内でも騒音発生状況は最悪の水準にあります。2006年5月の在日米軍再編合意では、嘉手納基地の「負担軽減」のためとして同基地所属のF15戦闘機の本土への訓練移転で合意。しかし、それをはるかに上回る外来機が飛来しているのが現実です。

 108・8デシベルを記録したのも、同基地には配備されていないF16戦闘機です。

 同訓練に先立つ2月6日には、米領グアム・アンダーセン空軍基地所属のB52H戦略爆撃機が緊急着陸。同11日には米アラスカ州からF22Aステルス戦闘機2機が飛来しました。07年2月以来、同機の一時配備が繰り返されていますが、昨年からは事前通告なしの飛来が繰り返されています。

出撃の拠点に

 嘉手納町によれば、外来機が目立ち始めたのは04年からです。この時期は、韓国・クーニ射爆場の閉鎖と重なります。同町の記録によれば、米本土やアラスカ、グアム、岩国、三沢、厚木、韓国の烏山や群山など、多方面から飛来しています。

 田仲町議は「在外米軍基地で資産価値がもっとも高い嘉手納基地は、戦略的にも重視されている。有事に日米韓の航空部隊が集結し、出撃する拠点となっているのではないか」と指摘します。



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