2010年3月1日(月)「しんぶん赤旗」
疑惑解明に背を向け強権国家づくり
「国会改革」民主が急ぐ
民主党は、官僚の答弁禁止などを柱にした「国会改革」関連法案(国会法・衆参各院規則の改定案)を2010年度予算案の衆院通過後、早急に国会に提出する方針です。与党は2日にも予算案の衆院通過を図る構えです。
「国会改革」関連法案は、「政府参考人制度の廃止」として官僚答弁を法律で禁止します。同時に、これまで人事院総裁や公正取引委員会委員長とともに「政府特別補佐人」として答弁してきた内閣法制局長官を1人だけ「政府特別補佐人」から外し、答弁を禁止します。法案審議とは別の「新たな意見聴取会」も設置するとしています。
民主党は2月12日、昨年末にまとめた「国会改革」改定案の党内向け説明会を開き、議員立法として国会に提出する方針を確認しました。「国会改革」は法・規則の公布の日から施行するとしており、現在の通常国会の途中でも、直ちに実行する構えです。
国会法・衆参各院規則の改定については、民主、社民、国民新の与党3党幹事長間で、まず衆参各院の議長の諮問機関である議会制度協議会にはかるとしています。
「国会改革」関連法案は、国会の行政監督機能や法案審査のための調査機能を弱めるという、憲法にもかかわる重大な問題点を含んでいます。「政治主導」の名のもとに、トップダウンで内閣提出法案を“効率的”に成立させる強権国家づくりにつながるものです。
いま民主党は、首相と幹事長のツートップが「政治とカネ」の問題を抱えながら、政治的道義的責任を果たそうとしていません。国民の政治不信を拡大させながら強引に「国会改革」を進めるのは、まったく筋が通りません。鳩山内閣支持率が発足時の半分に急落、長崎県知事選や東京・町田市長選で惨敗するなど、マイナスの影響も広がるなか、同党内からも「いま『国会改革』を持ち出しても、難しい」という声が出ています。
ある民主党議員は「一連の法案の中身について党内の論議は全くない。官僚答弁を認めないというのは、行政監督の点でも、立法事実の調査の点でも問題がある。いつの間にか、法案ができあがっている。『政策決定一元化』のもとでも、国会や選挙に関する問題は、国会議員が議論するはずだ」といいます。(中祖寅一)
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