2010年2月28日(日)「しんぶん赤旗」
馬券購入 携帯・ネット歯止めなし
限度額1人3億円
利用者が急拡大
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携帯電話やパソコンで馬券を売る日本中央競馬会(JRA)の「即PAT」(そくパット)という電話投票制度で、馬券購入の限度額が1節(連続する土、日曜の2日間)に、1人3億円とされていることがJRAの「利用規約」などで分かりました。インターネットを通じてだれでも簡単に接続でき、安易な購入が広がる恐れがあるにもかかわらず、購入額は事実上無制限です。
JRAの「規約」などでは、電話投票の1回の限度額は100万円、1節につき300回まで申し込みができ、2日間に最大3億円まで賭けることができるとされています。
JRAの従来の電話投票制度では、入会申し込みのさいに書面で本人確認をするなどして、手続きの完了まで最低でも2カ月程度かかり、これが利用者拡大の「歯止め」ともなっていました。
「即PAT」では、JRAが指定する四つの銀行に口座を持ってさえいれば、携帯やパソコンを10分間程度操作するだけで入会でき、即日、馬券購入が可能となります。思いついたその日から、すぐに利用できる“手軽さ”から、利用者が急拡大しています。
馬券購入資金についても、従来の制度では、競馬開催日前日までに競馬用の指定口座に入金した金額の範囲でしか賭けられませんでした。
本人確認は簡単
「即PAT」では、指定口座の馬券購入資金が底をついても、銀行口座から何回でも追加入金をすることができます。賭け金が膨らみ、深みにはまる危険性が格段に高まっています。
「即PAT」入会申し込みのさいの本人確認は、生年月日などを打ち込ませるきわめて簡単なものです。親の銀行口座を使って未成年者が入会し、利用するなどの問題が容易に起こりうる状態です。
JRA報道室の話 購入限度は、お客様のニーズ(要望)と利用動向からこれまで数回増額してきたもので、引き下げの要望はなく、減額は考えていない。申し込みのさいの情報を銀行の情報とつき合わせることで十分な本人確認を行っている。これまで「即PAT」の利用者が未成年者だと判明して、解約した事例はない。
即PAT(そくパット) JRAが開発したインターネット専業銀行を活用した新たな「電話投票」制度。2005年6月の開始時にはジャパンネット銀行、次いでイーバンク銀行が対応。08年には三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行のメガバンク2行が相次いで参入し、会員数の拡大に拍車をかけています。