2010年2月28日(日)「しんぶん赤旗」

タイ最高裁

タクシン氏資産没収

「首相時代に不正蓄財」認定


 【ハノイ=井上歩】タイ最高裁は26日夜、タクシン元首相一族の資産約760億バーツ(約2050億円)のうち、約460億バーツ(約1240億円)について国庫への没収を命じました。没収分はタクシン氏が首相就任中に職権乱用して得た不正蓄財だとしました。残り約300億バーツは就任前からの資産だとして没収しませんでした。

 バンコクからの報道によると、判決は、元首相が在任中に税法改正などで実質的オーナーだった通信会社の株価をつりあげた上、家族名義の株式を売却、不正な利益を得たとしました。タクシン氏側は株式は家族のもので、大半が就任前から所有していた正当な資産だと主張していました。

 タクシン元首相は判決後、支持者に向けたビデオメッセージで「政治的な判決」だと批判。「民主主義が発達すれば私のような犠牲者はなくなるだろう。民主主義を獲得するまであきらめないでほしい」と呼びかけました。

 タイでは、タクシン派と保守派・王党派の間で根深い政治対立が続いています。タイの司法は、選挙違反でタクシン派の政党を2度解党し08年末の政権交代につなげたほか、料理番組出演を理由に同派政権のサマック首相を解任するなど、同派に不利な判決をだしてきました。

 タクシン派は3月14日に全国から支持者を集め、「100万人」の政権打倒集会・デモをバンコクで行う予定。政府は治安部隊を大規模に展開して厳戒態勢を敷く構えです。


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