2010年2月23日(火)「しんぶん赤旗」
オランダ予定通り撤兵
アフガン駐留 世論が延長阻む
米増派戦略に痛手
【ロンドン=小玉純一】アムステルダムからの報道によると、オランダのバルケネンデ首相は21日、アフガニスタンに駐留するオランダ軍を従来の予定通り8月から撤兵させる意向を表明しました。首相は米国などの要請を受け、駐留を延長する方針でしたが、各党や世論の支持を得られませんでした。
バルケネンデ政権は2007年11月、アフガン派兵を延長するとともに、10年8月の撤退を決めていました。首相は21日のテレビ番組で「部隊の後任がなければ(派兵は)終了する」と語りました。
オランダが8月と予定していた駐留期限について、首相率いる最大与党のキリスト教民主勢力(CDA)が延長を求めたのに対し、連立与党の労働党(PVDA)が延長に反対。20日に政権を離脱して連立政権が崩壊しました。議会多数派による新たな連立は困難な情勢で、今年半ばまでに総選挙が実施される見込みです。
2月に実施された世論調査から上位2位内への躍進が予測される右派の自由党も駐留終了を主張。駐留延長を明確に主張する主要政党は事実上CDAだけです。
アフガンで死亡したオランダ兵はこれまでに21人。最近の世論調査によると駐留延長を支持するオランダ人は35%にすぎず、撤兵支持が58%に達します。連立崩壊直後の世論調査では、キリスト教民主勢力が支持を減らす半面、労働党が支持を増やしました。
北大西洋条約機構(NATO)加盟のオランダは、2006年からアフガン南部ウルズガン州に派兵し、現在1904人が駐留しています。同国軍の撤退は、米軍主導で増派戦略をとるNATOには痛手。NATOは他国軍部隊を新たに同州に駐留させることを強いられます。
「オランダ連立政権の崩壊は米国とNATOにとって、不人気な戦争への増派を同盟国に説得する困難さを浮き彫りにした」と英紙フィナンシャル・タイムズは指摘しました。
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