2010年2月23日(火)「しんぶん赤旗」

主張

クラスター爆弾禁止

国際条約を力に全面禁止へ


 一部の最新型を除くクラスター爆弾の使用・開発・製造・取得・貯蔵・保有・移転を禁止する条約が8月に発効することになりました。モルドバなどの批准で発効に必要な30カ国に達しました。

 禁止条約は2008年12月にほぼ100カ国が署名し、日本は昨年批准しています。米国、ロシア、中国などが全面禁止に背を向けるなかで、条約を作成し発効にこぎつけたのは、ノルウェーなどの有志連合国や国際人道機関、NGO(非政府組織)のがんばりによるものです。日本共産党も国会内外で早くから全面禁止のために力をつくしてきました。

問われる保有国の態度

 クラスター爆弾は、1個の親爆弾から多数の子爆弾が飛散して大きな被害を及ぼし、不発のまま地上に残った子爆弾も、拾ったり踏みつけたりした途端爆発し、子どもなど民間人を殺傷することも多い非人道兵器です。使いやすいというので多くの国が保有しています。世界各地の紛争で多用され、100万人をはるかに上回る民間人が犠牲になっています。全面禁止の実現は切実な課題です。

 クラスター爆弾禁止条約はこうした悲惨な事態をなくすためにノルウェーなど有志連合国によってつくられました。条約が発効することでいよいよこの非人道兵器を地上から一掃する道が開けます。国際社会が条約の発効を力にして、全面禁止に向けたとりくみを強め広げることが求められます。

 禁止条約は一部の保有国に押されて「例外」を認める規定を設けたとはいえ、いまあるクラスター爆弾の99%が対象です。条約への参加国が増えれば廃棄される爆弾の数も増えます。条約に署名した100カ国あまりのうち批准したのはいまだ30カ国にすぎません。署名した残りの国すべてにすみやかに批准させることが必要です。条約参加国が増えれば、全面禁止の流れを定着させ、使用も保有も許さない圧力になります。

 問題は大量に保有し、ベトナムやイラクの戦争で多用してきているアメリカをはじめ、ロシア、中国、イスラエルなどの対応です。こうした国々が国連の特定通常兵器使用制限条約(CCW)の会議でクラスター爆弾の全面禁止の要求を拒否し続けたことから、有志連合国がオスロに集まり、CCWの枠外で独自に禁止条約をつくりました。どんな国であれ、これ以上禁止条約に背を向けるのは許されません。条約に参加し、全面禁止の流れに合流すべきです。そのためには条約批准国を先頭に、クラスター爆弾に固執する保有国を追い詰めていくことが不可欠です。

国土から一掃してこそ

 クラスター爆弾禁止条約は「すべての国によるこの条約への参加を得る」とうたっています。日本政府が条約批准国としての義務を誠実に果たそうとするなら、米国に批准を求めることはとりわけ重要です。

 すでに批准している日本が条約の発効を機に、自衛隊保有のクラスター爆弾を廃棄するだけでなく、在日米軍の爆弾を撤去させ、日本国土から一掃することが条約批准国としての責務です。「日米安保体制の円滑な運用に不必要な制約を課すことは適切ではない」(昨年5月、中曽根外相)などといった日米軍事同盟絶対の態度は、条約とは両立しません。


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