2010年2月20日(土)「しんぶん赤旗」
主張
胆沢ダム談合疑惑
小沢氏の責任はますます重い
民主党小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入資金事件に関連し、“税金還流”の舞台になったのではないかと指摘された岩手県内の国土交通省直轄の「胆沢(いさわ)ダム」本体工事発注をめぐる談合の疑いが明らかになりました。小沢氏は、談合の指摘されたゼネコンを含む胆沢ダムの受注企業から、表に出たものだけでも約3000万円もの政治資金を手にしています。
談合の疑いを見過ごした国土交通省の責任は重大です。同時に小沢氏には、ますます疑惑についての説明責任と、政治的道義的責任の明確化が求められます。
談合企業に「天の声」?
胆沢ダムの発注をめぐる談合疑惑は、日本共産党の笠井亮衆院議員の予算委での追及に、前原誠司国土交通相が認めました。
それによると、2004年10月の胆沢ダム本体の堤体盛立第1期工事で「落札者は鹿島建設に決まっている」という情報があり、実際、鹿島などの共同企業体が受注しました。また05年3月にはダム本体に使う岩などを山から採取する原石山材料採取の第1期工事で、「元請けは大成建設などの共同企業体、下請けは水谷建設に決まっている」という情報があり、実際その通り落札されました。いずれの場合も国土交通省が談合の疑いで審議対象にしたのに確認できなかったというので、予定通り入札が行われていました。
笠井議員は、国交省の談合の調査がずさんだったからではないかと追及し、前原国交相もあらためて検証することを約束しました。
見過ごせないのは、胆沢ダムは「小沢ダム」といわれるほど、小沢氏の影響力の強い事業として知られており、胆沢ダム建設工事の受注企業から、小沢氏が政治資金を得ていることです。政治資金収支報告書で届けられただけでも、小沢氏が支部長を務めた「自由党岩手県第4総支部」やいまも支部長の「民主党岩手県第4区総支部」への企業献金や、「小沢一郎政経研究会」主催のパーティー券購入が、17社で合計約3000万円にのぼります。水谷建設からの裏献金についての証言もあり、表に出たのはまさに“氷山の一角”です。
小沢氏の公設第1秘書が逮捕、起訴され公判中の西松建設の違法献金事件では、小沢事務所が岩手県内などの公共事業の発注に「決定的な影響力」を持ち、ゼネコンが談合で決めた受注の本命企業に「了解」の「天の声」を出すやり方がとられていたと、検察の冒頭陳述で指摘されました。
小沢氏が談合したゼネコンの受注を後押しし、自らの政治資金に税金を“還流”させたのではないか―。胆沢ダムをめぐる談合の疑いと、小沢氏とのかかわりは徹底して調査されるべきです。
臭いものに蓋(ふた)は許されぬ
小沢氏へのゼネコンの献金の中には、05年の衆院選中のものもあります。国と契約関係のある企業に禁止された、選挙資金提供の疑いも濃厚です。
小沢氏は土地購入資金事件の収支報告書の虚偽記載では「嫌疑不十分」で不起訴となったものの、疑いが晴れたわけではありません。談合に手を貸し、その見返りに献金を受け取っていたとなれば重罪です。責任をあいまいにすることは許されません。
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