2010年2月19日(金)「しんぶん赤旗」
多様性条約締約国会議にむけシンポ
生物種の絶滅・喪失 年間180兆円 損失に
地球規模の生物種の絶滅・喪失が、少なくとも年間2兆ドル(約180兆円)の経済損失になることが18日、東京都内で開かれた「生物多様性と経済・ビジネスに関する国際シンポジウム」(主催・地球環境戦略研究機関など)で報告されました。会場は約300人でいっぱいになり、報告では、絶滅・喪失を食い止める2010年以降の目標設定とその達成の重要性が訴えられました。
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報告したのは、TEEB(生態系と生物多様性の経済学)プロジェクトリーダーのパバン・スクデブ博士。TEEBは、地球温暖化対策の意義を経済的な損益で評価した「スターン報告書」の生物多様性版といえる研究で、ことし10月に名古屋市で開かれる生物多様性条約締約国会議(COP10)に、最終報告書を提出する予定といいます。
TEEB報告書の概要を紹介したスクデブ氏は、生物多様性の喪失・劣化と、途上国の貧困問題が深く結びついており、現状のまま何も手を打たないと、2050年にGDP(国内総生産)が125兆ドル、人口が92億人に増える成長ケースでは、生物多様性の経済的損失が毎年2兆ドルにのぼると指摘。COP10に向けて緊急性のある課題のひとつとして、地球温暖化によるサンゴ礁の破壊を食い止めることが重要だと訴えました。
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