2010年2月18日(木)「しんぶん赤旗」

対イラン 一転強硬

米国務長官の中東歴訪

政府に「体制転換」論も


 【ワシントン=小林俊哉】クリントン米国務長官は16日、中東歴訪を終え、帰国しました。国連安保理による対イラン制裁の強化に向け、湾岸諸国の協力を取り付けるのが狙いとみられていましたが、訪問先で「イランは軍事独裁に向かっている」と繰り返し主張したことが、波紋を呼んでいます。

 クリントン氏は「イラン政府、最高指導者、大統領、議会はすべて(革命防衛隊によって)押しのけられつつあり、イランは軍事独裁に向かっている」などとカタールで主張。サウジアラビアなどでも同趣旨の発言を繰り返しました。

 米メディアは、「イランの宗教、政治指導者に対し、革命防衛隊に立ち向かうよう促した」(16日付ニューヨーク・タイムズ紙)、「革命防衛隊と他の政治エリートの間にくさびをうちこむもの」(同日付ワシントン・ポスト紙)と一斉に報道。イランの現体制内の政治対立をあおろうとしたとの指摘が大方です。

 折しも、ホワイトハウスのジョーンズ大統領補佐官(安全保障担当)が、「厳しい制裁を通じて、イランの体制転換を引き起こすこともありうる。それは可能だ」(14日)と「体制転換」に公然と言及して注目されたばかりでした。

 オバマ政権は、政権発足以降、対イラン外交の強化を方針としていました。しかし、昨年1年間を通じて核開発問題でみるべき成果がなかったとの批判を受ける中、“外交関与”強調型から一転して、制裁など強硬姿勢を前面に出すようになっています。

 クリントン氏も、今回の歴訪で、“イランの脅威”から守るなどの理由で、湾岸諸国への武器供与の意義を強調。サウジアラビアに対しては、中国への石油供給国の地位を利用して、対イラン制裁強化にむけ、中国に圧力をかけるよう求めたといわれます。

 しかし、他国の政治状況に口をはさむやり方には懸念や批判の声が上がっています。

 16日、米国務省が外国メディア向けに行った中東歴訪に関する記者会見では、記者団から、米国の中東政策に対して対象国の人権活動家などからさえ、「内政問題への干渉」との声が出ているとの指摘が出ました。


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