2010年2月17日(水)「しんぶん赤旗」
アフガン大規模攻勢3日目
犠牲者増大を注視
米メディア“オバマ戦略の試金石”
【ワシントン=小林俊哉】米軍を中心とするアフガニスタン駐留の国際治安支援部隊(ISAF)とアフガン治安部隊による反政府勢力タリバンに対する大規模な掃討作戦は、15日で3日目を迎えました。米主要メディアの報道は、「戦果」重視の従軍報道が主体です。それでも、今回の作戦をオバマ大統領の対アフガン戦略の試金石と指摘しています。
作戦は同国南部ヘルマンド州の町マルジャが焦点。AP通信は「マルジャ南部ではほとんど抵抗がない」とのアフガン軍司令官の指摘を挙げ、アフガン軍と米軍の共同作戦の「成果」を伝えています。
それでも、相次ぐ民間人死傷者の増大は作戦遂行にとって深刻な問題となっています。ニューヨーク・タイムズ紙16日付電子版は、米軍主力の混成部隊が市民12人を死亡させた問題で、米側とアフガン側で説明の詳細が異なる問題を大きく報道。相次ぐ市民の犠牲による国民感情の悪化に注意を払っています。
17日で、オバマ氏が1万7000人の最初の対アフガン増派を命令して1年を迎えます。昨年12月には3万人規模の再増派を指示。今回の掃討作戦は、この増派によって可能となりました。
米ワシントン・ポスト紙15日付は「(今回の作戦は)オバマ戦略にとって決定的な試金石」と指摘。作戦が失敗すれば、アフガン側への治安権限移譲に道筋がつかなくなり、米軍の「出口戦略」にも影響が出るとの見方です。ジョーンズ米大統領補佐官は14日、「重要なことは、新戦略の要素を盛り込んだ最初の大規模作戦ということだ」と今回の作戦結果を重視しています。
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