2010年2月17日(水)「しんぶん赤旗」

主張

核兵器廃絶署名

いまこそ反核世論の結集を


 「核兵器のない世界」の実現にむけて、いま重要な節目をむかえようとしています。

 5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議では、核兵器廃絶への一歩をふみだせるかどうかが問われています。5月2日には、ニューヨークで反核運動の国際共同行動がおこなわれ、日本からも1000人以上が参加する予定です。

廃絶と核抑止否定決断を

 昨春のオバマ米大統領のプラハ演説以降、核兵器廃絶への新たな機運が広がってきました。同時に、その実現のためには乗りこえなければならない問題があります。

 アメリカの上院では、共和党議員らが、核兵器近代化の予算を強く要求し、オバマ政権内部でも、「核兵器のない世界」を「行き過ぎ」と批判する声があると、報じられています。オバマ大統領自身も、「核兵器のない世界」実現への決意を表明する一方で、「おそらく私の生きているうちには達成されないだろう」とのべ、核兵器のあるかぎり、「抑止力」は必要であるとも主張しています。

 日本共産党の第25回党大会決定は、オバマ政権がかかえる「問題点や限界」を率直に指摘しました。そして、前進への道をひらくために、核兵器廃絶のための国際交渉をすみやかに開始することと、「核抑止力」論から脱却することを訴えました。これは世界の多数の声と合致する道理あるものです。

 昨秋、潘基文(パンギムン)・国連事務総長は、「核抑止力」論を批判するとともに、核兵器廃絶のための交渉を求めた自身の提案への支持をよびかけました。昨年12月の第64回国連総会では、核兵器全面禁止・廃絶条約の早期締結にむけた交渉の開始を求める決議が、圧倒的多数の賛成で採択されました。核保有国の中国、NPTに加わらないインド、パキスタン、北朝鮮も賛成し、反対したのは核保有国のアメリカなど一部の国だけでした。

 世界の反核平和運動にも新しい発展があります。昨年の国連NGOの年次総会は、「核兵器の使用や使用の脅しに基づく『核抑止力』論との対決」を表明し、核兵器廃絶への「戦略」のかなめは、核兵器禁止条約交渉を成功させることだと強調しました。5月のニューヨークでの国際行動も、日本の運動のはたらきかけもあり、はじめて核兵器廃絶条約の締結を正面からよびかけ、準備されています。

 日本の鳩山由紀夫首相は、「核兵器のない世界」実現への決意を表明しながらも、「拡大抑止」としてのアメリカの「核の傘」は必要だという立場をとりつづけています。世界の流れにも、被爆国としての役割にもそむくこの姿勢はまったく恥ずべきものであり、直ちに改められなければなりません。

被爆国国民の声を署名に

 核兵器廃絶への前向きの変化をつくりだしてきた根本の力は、被爆者を先頭とする、世界諸国民の世論と運動でした。それだけに、この変化を現実の前進にむすびつけるには、これまでにもまして反核世論を大きく結集することが必要です。そのかなめは、日本と世界でとりくまれている「核兵器のない世界を」署名の運動をさらにひろげ、国内1200万筆の目標をやりとげることです。

 圧倒的な被爆国民の声を署名に託し、国連や諸国政府を動かし、「核兵器のない世界」の実現を迫っていこうではありませんか。



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