2010年2月15日(月)「しんぶん赤旗」

米紙 米州機構事務総長は“左派迎合”

中南米の民主主義否定

ブラジル外相が反論

来月に選挙


 【メキシコ市=菅原啓】米州機構(OAS)の事務総長選挙が3月末に実施されます。これを前に、米紙ワシントン・ポストが、2005年の前回選挙で米国に推された候補を破って選出されたインスルサ現事務総長の姿勢を批判する社説を掲げたことをめぐって論議が起きています。ブラジルの外相は、中南米の民主主義の進展を否定するもの、と社説を批判しています。


 ワシントン・ポスト(10日付)社説は、インスルサ氏が中南米の左派政権に「迎合」していると批判。OASがこの数年、主要な目的である「代議制民主主義の強化と促進」において失敗を続けていると指摘し、米州機構の「機能不全の権化」として同氏を糾弾しています。

 同紙は、OASが昨年6月の総会で、キューバ排除の決議を取り消す決定を行ったことについて、インスルサ氏が、キューバ国内の「独裁体制が解放されていないのに、この決定を推進した」と非難しています。

 社説は、同氏の再選を支持しないようオバマ政権に要求。同氏の出身国であるチリでさえ、3月11日に就任予定のピニェラ次期大統領が支持を明らかにしていないと指摘していました。

 インスルサ事務総長は、批判の背後にいる人は、「ホンジュラスのミチェレッティ(クーデター政権の暫定大統領)を支持した強力なキャンペーンの背後にいた人々と同じだ」と反論。12日には、チリに帰国し、ピニェラ氏と会談して、同氏の支持を確認しました。

 チリを訪問しているブラジルのアモリン外相は12日、米紙の主張を「根拠がないもの」とした上で、「中南米の民主化を望まない人々による批判だ」と批判。インスルサ氏の再選を支持する立場を表明しました。

 2005年の前回事務総長選では、米国の支配を拒否する左派政権の相次ぐ誕生を背景に、米国の支持した候補者が当選できないというOAS史上初めての事態が起こり、インスルサ氏が当選しました。米国は親米的な人物を推薦するのが慣例ですが、オバマ政権は今回の選挙に向けては誰を支持するのかいまのところ明らかにしていません。


 米州機構(OAS) 米国、カナダと中南米33カ国でつくる南北米州の地域機構。1951年発足。民主主義促進や貧困削減を掲げる一方、47年結成の米州相互援助条約(リオ条約)と連動し、軍事干渉の正当化やキューバ封鎖など米国の中南米支配の道具にされてきました。ただし、リオ条約はメキシコが2004年に脱退するなど、機能不全に陥っています。


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