2010年2月13日(土)「しんぶん赤旗」
通貨投機に「ロビン・フッド税」を
英国50の市民団体「貧困・環境対策に」
英国の約50の市民社会団体は10日、「ロビン・フッド税運動」を発足させ、投機目的の国際通貨取引への全世界的な課税を導入する必要があるとの書簡を、英主要3政党党首に送りました。国内外の貧困とたたかい、公共サービスを守り、気候変動に取り組むための財源にするという位置付けです。
国際通貨取引税は、ノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・トービン氏が提唱。今回の運動は、これまで「トービン税」と呼ばれていたこの税制に、暴政に抵抗した中世英国の伝説上の義賊ロビン・フッドの名を冠したものです。
国際支援団体オックスファム英国のほか、労働組合会議(TUC)などの労組、環境団体などが名を連ねています。英俳優ビル・ナイの出演するプロモーションビデオもウェブ上で公開されています。(http://robinhoodtax.org.uk/)
3党首への書簡は、「世界は金融危機の後遺症に直面し、英国の最も貧しく、弱い立場に置かれた人々の生活はますます厳しくなっており、環境を守るたたかいは脇に追いやられている」と指摘。「銀行の通貨取引にささやかな課税を行い、英国で公共サービスを活性化し、海外で生命を救い、貧困を削減するロビン・フッド税を提案する」としています。
この運動は、ロビン・フッド税は通常の銀行送金にではなく、投機的な目的での通貨取引にのみ課税するとし、税率は平均0・05%と提起。英国だけで年間2500億ポンド(約36兆円)の税収を見込んでいます。
書簡は最後に、「銀行の危機を、英国と世界の好機に変えよう」と訴えています。
ブラウン英首相は昨年11月のスコットランドでの主要20カ国・地域(G20)会議で、国際通貨取引税導入を提案。11日付英紙フィナンシャル・タイムズ紙上のインタビューでも、世界の経済大国は銀行の通貨取引への国際的な新課税で合意を目前にしており、6月のG20首脳会議で大要が決まるだろうと語っています。