2010年2月13日(土)「しんぶん赤旗」

武器輸出三原則見直し

防衛相発言 背後に財界

「国際共同開発」参加狙う軍需産業


 「北沢さんの発言は、経団連の提言の影響を受けているよ。財界の支持も取り付けないといけないわけだから」―。安全保障問題に詳しい元政府高官はこう語ります。

 海外への武器輸出を禁じた「武器輸出三原則」について北沢俊美防衛相が「見直し」発言を繰り返しています。9日の衆院予算委員会で日本共産党の吉井英勝議員が追及しましたが、北沢防衛相は同三原則を守るといいつつ、見直しを示唆しました。この背景に、日本の軍需産業による強い要求があります。

 麻生自公政権下で日本経団連が出した提言(昨年7月)で同三原則の見直しを要求。今年1月21日には、北沢防衛相が主催して軍需産業のトップとの懇談会が都内で開かれました。企業側からは三菱重工、川崎重工などの会長、社長ら17社が出席し、「武器輸出三原則の見直しも提起」したのに対し、北沢防衛相は「今日の議論は省内で検討したい。こうした意見交換は最低年1回は開きたい」と述べました。(防衛省準広報紙「朝雲」1月28日付)

 軍需産業の要望は、ミサイル防衛システムや戦闘機などの「国際共同開発」への参加です。昨年8月の前政権下の有識者による防衛大綱の見直しの提言でも、とりわけこの点が強調されています。

 1967年の佐藤栄作首相や76年の三木武夫首相の表明によって他国への武器輸出を禁止した「武器輸出三原則」。歴代自公政権で日米軍需産業の要求に応じ、対米武器技術の供与やミサイル防衛の日米共同開発などが例外規定とされ、抜け穴がつくられてきました。

 同三原則そのものを見直すという、自公政権以上のことを狙う民主党政権の動きは、より重大です。

 今年は、昨年の政権交代に伴って延期された日本の将来の軍事力整備の在り方をまとめた防衛大綱の改定があります。改定に向けて「武器輸出三原則」の在り方についても議論されるとみられます。

 民主党政権が軍需産業の要求に沿った政策をとるのか、憲法の平和原則を順守する立場に立つのか、大きな試金石となる問題です。(洞口昇幸)


 武器輸出三原則 1967年に当時の佐藤栄作首相が、(1)共産圏諸国(2)国連決議により武器等の輸出が禁止されている国(3)国際紛争当事国、その恐れのある国への武器輸出を認めないと表明。76年に政府統一見解として67年の三原則対象地域外への武器輸出も慎むとし、事実上、日本の他国への武器輸出が禁止となりました。



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