2010年2月11日(木)「しんぶん赤旗」
東電・福島原発の下請け
多くが社会保険未加入
安全求める市民の会 解決策を要求
東京電力福島第1、第2原子力発電所の下請け労働者の多くが、社会保険にまったく加入していないことが明らかになりました。「原発の安全性を求めるいわき市民の会」(長谷部淳代表)が9日発表したもので、同日、東電社長と第1、第2両原発所長あてに調査と解決策を求めました。
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「市民の会」によると、ことし1月下旬、同原発で昨年11月まで働いていた下請け労働者から、「失業給付を受けられない」という相談を受けました。健康保険、年金、雇用保険にいっさい加入していないとのことでした。別の下請け会社で働いていた数人から聞き取りしたのも同様でした。
原発の定期検査では作業員を4000〜6000人必要とします。ある労働者は、東京電力が東芝などに発注し、東電工業、東電環境エンジニアリングなどの東電グループの会社が、1次下請けになることもあると話します。
1次下請け会社の下に「常駐下請け」と呼ばれる技術をもった会社が20社ほどずつあり、さらにその下に6社ぐらいずつ、そしてその下に「人夫出し」といわれる会社―という階層になっています。必要な人数が集まらないと次つぎと依頼し、20次ほどの下請けになることもあると、労働者は語っています。下請けになるほど社会保険に加入させず、賃金も低くなるという実態です。
「市民の会」は、東電の責任で下請け労働者の社会保険の加入状況をつかみ、3月12日までに解決策を示すよう要請。下請け労働者の労働条件は原発の安全にとって大切であり、東電自身が福島第1原発で計画しているプルサーマル導入の前提として、安全のため下請け企業との協力を強調していることを指摘しました。
東電側は、「安全性にもかかわる問題であり、真剣に調査する」と答えました。
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