2010年2月11日(木)「しんぶん赤旗」

スペイン 失業者手当延長

首相「安定雇用増やす」


 スペインのサパテロ首相は9日に上院で演説し、今月で打ち切り予定だった失業者特別手当の支給を6カ月延長する意向を表明しました。世界経済危機の影響で失業者が急増している事態に対処するためです。同首相はこれに先だって「期限の定めのない雇用」を増やす政策案を提起しています。

 1月末に発表された同国の失業率は約19%。地元紙によるとこの10年余りで最悪レベルといいます。

 特別手当制度は無収入の失業者を対象に政府が昨年6月に始め、これまでに約30万人が活用しました。延長措置でさらに20万人が活用できる見込みといいます。

 同首相は5日、首相府に主要な労働組合と経営者団体の代表を招き、雇用を増やすための政策案を示しました。同案の内容は、▽期限の定めのない雇用契約を促進▽違法な期限付き雇用を防止するために政府による企業検査を強化▽職業訓練による若者の雇用増▽ドイツを参考にした操業短縮手当の導入―などです。

 スペインでは現在、25%を超える労働者が臨時や派遣の雇用形態で働き、欧州連合(EU)加盟国の平均を大きく上回ります。

 同首相は労使代表との懇談後の会見で、「目的は安定した雇用を増やすことだ」と指摘。「安定した雇用、期限の定めのない雇用契約こそが経済の持続性を強め、生産性を高める」と述べ、不安定雇用を減らす決意を示しました。今後、政府提案を土台に政労使3者が交渉します。

 政府案に対し、労働組合の全国組織である労働者委員会(CCOO)と労働総同盟(UGT)は「議論できる提案だ」と表明。企業経営者の全国組織であるスペイン使用者連盟やスペイン中小企業連合の代表は、「良い方向だ」としています。(島田峰隆)



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