2010年2月11日(木)「しんぶん赤旗」
外国人実習制度廃止を
中国人元研修生ら 入管局長に要請
仁比議員が同席
外国人研修・技能実習制度で来日し、熊本県内の縫製工場で働いていた中国人女性2人が9日、法務省の入国管理局長と面会し、「奴隷のように働かせるこの制度はすぐにやめてほしい」と訴えました。所管の局長が研修生らに会うのは初めて。
要請したのは、1月末に熊本地裁で勝訴した原告4人のうち、谷美娟さん(22)と劉君さん(25)。同制度による3年間の在留期限で昨年4月に帰国し、今回の判決にあたって再来日しました。田内正宏局長に「法務大臣への手紙」を手渡し、読み上げました。日本共産党の仁比そうへい参院議員が同席しました。
2人は2006年に来日し、ワコールの下着縫製の下請け工場で就労。毎日5時間ほど残業(時給300円)があり、休みは月1日程度でした。社長はパスポートと印鑑を没収し、強制貯金をさせたあげく、使い込みました。ローカルユニオン熊本に入り、07年に提訴しました。
要請で2人は、「希望をもって日本に来たのに、こんなつらい目にあうなんて」「研修生らの権利を守ってほしい」と訴えました。
田内局長は、制度を廃止する考えはないとした上で、「不正行為には厳しく対応していく」とのべました。
弁護団の小野寺信勝事務局長は原告の事例を、「極めて典型的な事件だ」と強調。判決が就労を仲介した1次受け入れ機関の責任を初めて認めたことをあげ、「制度全体を変える問題として大きな意味をもつ判断だ」と指摘しました。
熊本県労連の楳本光男事務局長は、「(同制度を)廃止するしかない」と要請。仁比議員は研修生らの実態を「現代の『女工哀史』というべき状況だ」と指摘し、原告の願いに応える対応を求めました。
■関連キーワード