2010年2月11日(木)「しんぶん赤旗」
離党表明の石川議員
証人喚問に応じ真相語れ
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の土地購入をめぐる事件で起訴された元秘書の石川知裕衆院議員に対し、鳩山由紀夫首相はじめ民主党執行部は「(進退は)本人が決めることだ」と石川議員の“離党”をもって疑惑の幕引きをはかろうとしています。石川議員も12日に党執行部に離党届を提出する方向だと報じられています。
否定はすれど…
しかし、石川議員が起訴された政治資金規正法違反事件は、離党で幕引きが許されるような性格ではありません。
土地購入をめぐる刑事事件で問われたのは、政治資金規正法違反(虚偽記載)です。石川議員を含む現・元秘書3人が起訴され、虚偽記載の総額は実に21億7000万円にものぼる前代未聞の事態です。石川議員は故意に虚偽記載したことを認めたとして起訴されたのです。
しかも石川議員は、「政治資金の出所を不明にするなどの目的で意図的に虚偽の収支報告をしたことはない」(9日の記者会見)と述べ、起訴内容を真っ向から否定し、“何が悪い”と開き直っています。
石川議員はまた、土地購入の原資の一部となったとされる中堅ゼネコン・水谷建設からの闇献金について「私が水谷建設から不正な金銭を受領したことはいっさいない」と否定したものの、具体的な根拠はいっさい示さず、「今後の公判で明らかにされる」と逃げるだけでした。
より深まる疑惑
小沢氏自身の関与はなかったのか、小沢事務所が「天の声」として東北地方の公共事業受注に決定的な力をもっていたのではないか――今回の石川議員の“言い分”をみても疑惑は深まるばかりで、とても“一件落着”とはいえません。
こうした事態にもかかわらず鳩山首相は「地元に帰れば、皆さんに支持していただいているのだから、これからも党に残って頑張りたいという気持ちは人情としてわかる」(9日)と理解を示し、石川議員の身の振り方を小沢氏の「判断」に委ねました。
その小沢氏といえば、石川議員の虚偽記載について「国会議員の職務に関して責任を問われているわけではない」(8日の記者会見)と問題視せず、自身についても不起訴になったことをもって「不正がなかったことが明らかになった」と開き直っています。
偽装献金事件を抱える首相(代表)は説明責任を尽くさないまま疑惑の渦中の幹事長にゲタを預け、その幹事長も国民に説明責任を果たさず、党全体としては離党という対応で済ませようとする――民主党の自浄能力の欠如がいまほど問われているときはありません。
いま石川議員に求められるのは、「離党」などではなく、国会の証人喚問に応じて、小沢氏の関与を含め真相を語ることであり、そのことを通じて政治的道義的責任を明らかにすることです。