2010年2月10日(水)「しんぶん赤旗」
12億円 依然使途不明
鳩山首相の偽装献金
説明責任は重大
衆院議員の資産公開で、鳩山由紀夫首相の群を抜く“資産家ぶり”が改めて明らかになりました。一方、資金管理団体「友愛政経懇話会」(友政懇)の偽装献金問題をめぐっては、母親から提供を受けた巨額資金などを原資とする約12億円もの支出が明らかにされていません。首相は元秘書ら2人が起訴されたことで、事件は終わったかのようにいっていますが、いったい、何に使ったのか―。
友政懇の会計事務担当だった勝場啓二元公設第1秘書ら2人が政治資金規正法違反(虚偽記載、不記載)で起訴された昨年12月24日、首相は弁護士とともに記者会見。偽装献金に充てられていた原資について、(1)母親から2002年以降、合計12億6000万円(2)自身の個人口座から3億2240万円―の計15億8240万円と説明しました。
勝場元秘書の起訴事実によると、「故人」献金、パーティー券収入の水増しなどの虚偽記載の総額は、友政懇が3億5900万円(04〜08年)▽北海道友愛政経懇話会が4200万円(06〜08年)―の計4億100万円です。
●未決着
偽装献金の原資の15億8240万円と、虚偽記載への補てんとの差額は11億8140万円。この大金がどう使われたのかが問題です。
首相は、検察の処分にふれ、「支出に関して問題があったというふうには承知していません」といいますが、12億円近い支出の問題は未決着です。
昨年12月24日の会見で、首相は、友政懇、個人の政治活動、プライベートの三つの分野に支出していたとのべ、「日々の会食や会合、国内外に出かける旅費、議員の任意活動である議連や議員政策研究活動、パーティー会費や仲間の皆さんとの冠婚葬祭のお付き合い、個人として借りている事務所の家賃」としました。
しかし、詳細は「(起訴された)秘書に任せていた」というだけです。
●闇の中
1月28日の参院予算委員会で、共産党の井上哲士議員が追及したように、首相が率いる政策研究グループ「政権公約を実現する会」は、03年2月に「民主党政権を実現する同志の会」として結成されて以来、7年にわたって政治団体として無届け。軽井沢のホテルで「合宿研修」などを行っていますが、その収支は闇の中です。
友政懇の03〜08年の収支報告書を見ても、他の議員への寄付があるのは、平野博文官房長官の資金管理団体に1000万円、吉良州司外務政務官(衆院大分1区)の政党支部に800万円など8団体に計4600万円の記載がある07年だけで、きわめて不自然です。
●不透明
結局、12億円近い原資のうち、「個人の政治活動」にどう使われたかはまったく不透明です。
首相は、「(元秘書の)公判が終われば公表する」(1月28日の参院予算委)とのべましたが、それを待たずに、みずからの責任で真相を明らかにする必要があります。