2010年2月6日(土)「しんぶん赤旗」

主張

米海兵隊普天間基地

「侵略力」は撤去するしかない


 鳩山由紀夫首相は、衆参両院での日本共産党の志位和夫委員長や市田忠義書記局長の米海兵隊普天間基地撤去の要求に、「侵略に対する抑止力」であり「代替なき返還は不可能」だと、「移設条件付き」返還に固執する態度を明らかにしました。とりわけ首相が米海兵隊を「侵略力」ではなく「抑止力」と断言したのは重大です。

無法な「殴り込み」部隊

 米海兵隊は日本を守る「抑止力」ではありません。世界各地に軍事介入するさいの「殴り込み」部隊です。沖縄海兵隊自身も「海兵隊は迅速に、どこへでも、どのような任務にも対応する能力を備えた遠征介入部隊」と説明しています(米海兵隊ホームページ)。志位委員長や市田書記局長が指摘したようにまぎれもない「侵略力」です。

 海兵隊が日本を守るどころか、他国を侵略する、危険な部隊だからこそ、沖縄県民は普天間基地の無条件撤去を求めているのです。基地をなくしたいという県民の願いに背を向けた鳩山首相に批判の声があがるのは当然です。

 沖縄海兵隊はイラク侵略やアフガニスタン報復戦争に出撃しています。2004年のイラク・ファルージャでの「掃討作戦」では、たくさんの住民を狭い地域におしこめ、逃げ道を閉ざしたうえで爆撃と地上攻撃を行い、多くの犠牲者をだしました。国際人道法にも違反する無法な殺りく行為でした。

 鳩山首相がこうした海兵隊の実態をみないのは、事実をいつわるものです。そんな理由で海兵隊の居座りを許すことはできません。

 もともと米政府は海兵隊が日本防衛のための「抑止力」といったことはありません。ワインバーガー米国防長官は「沖縄の海兵隊は、日本の防衛に当てられていない」(1982年4月米上院歳出委員会)と証言し、チェイニー米国防長官も「世界的な役割を果たす戦力投射部隊」(91年7月米下院予算委員会)と証言しています。

 にもかかわらず鳩山首相が海兵隊を「抑止力」だと強調するのは、日米軍事同盟を絶対化し、海兵隊が沖縄に居座るのを正当化するためです。「抑止力」と「日米合意」の呪縛(じゅばく)にとらわれている限り、普天間基地を撤去させることはできません。現に、普天間基地の「移設先」探しに固執し、袋小路から抜け出せずにいることがそれを証明しています。

 政府は海兵隊が「侵略力」であることを認めるべきです。「抑止力」の呪縛から抜け出し、普天間基地の無条件撤去を求めて米政府と交渉してこそ、問題解決の道が開かれるのは明らかです。

「沖縄の心」優先せよ

 普天間基地は、米軍が沖縄占領後に住民を収容所に囲い込んでいる間に土地を奪ってつくり、さらに銃剣とブルドーザーでそれを拡大した、戦時国際法でさえ許されない産物です。戦後半世紀も犠牲を強いられた沖縄県民が無条件返還を要求するのは当然です。

 なのに無条件撤去を要求せず、別の土地を差し出して返してもらおうという政府の態度は、主権意識のない、無責任で卑屈な態度といわれても仕方がありません。「抑止力」というごまかしの論理を押し通すのではなく、基地で苦しんでいる沖縄県民の思いを尊重し、普天間基地の無条件撤去に踏み出すことこそ政府の責務です。



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