2010年2月5日(金)「しんぶん赤旗」

小沢氏団体不正資金

疑惑は新たな段階に

国会で真相の解明を


 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体の土地購入をめぐる事件で、東京地検が4日、元秘書で会計事務担当の石川知裕衆院議員ら3人の現・元秘書を、政治資金規正法違反(虚偽記載)で起訴したことで、小沢氏の政治資金をめぐる疑惑はいっそう重大な段階に入りました。(中祖寅一)


 小沢氏の「関与」(共犯)についての立件は見送られましたが、疑惑は消えたわけではありません。3人の現・元秘書の関係者の起訴だけでも小沢氏の政治責任は重大です。

 鳩山首相は4日、「検察の聴取も受け、そこでかなり説明した。記者会見もかなり行い、本人としては知りうる限り説明責任を果たした」と小沢氏を擁護しました。

 しかし、2度の事情聴取の中で小沢氏は、土地購入の原資にゼネコンからのヤミ献金が含まれたのではないかという疑惑について、「事実無根」というだけで、積極的な説明を行っていません。

 焦点は刑事責任の行方にとどまらず、疑惑解明の政治的道義的責任です。

虚偽記載の背後

 疑惑の本質は、政治資金収支報告書への虚偽記載の背後に、公共事業でばらまかれた税金が、企業・団体献金を通じて小沢氏に還流する大掛かりな仕組みがあるのではないか、というものです。

 中堅ゼネコン・水谷建設の関係者は、問題となる土地取引(04年10月)の直前に、5000万円を小沢氏側に渡したと証言(「しんぶん赤旗」日曜版)し、これが岩手県・胆沢ダム関連工事の受注に対する見返りと指摘されています。

 西松建設からの違法献金疑惑をめぐっては、ダミー(隠れみの)団体を介しての献金について、小沢氏側は「西松のカネとは認識していなかった」などと一貫して開き直っていますが、これが西松マネーを政治に還流するシステムだったことは客観的に明らかです。ゼネコン関係者の「小沢事務所の『天の声』でカネが動いた」という証言は多数出ています。

 また、小沢氏が率いた新生党、自由党の解散時に、巨額の政党助成金が小沢氏関連の政治団体に引き継がれ、処理され、使途が不明のままです。

 これらの疑惑に対して、法改正を含む必要かつ適切な措置を取るためには、国政調査権(憲法62条)の発動をはじめ、国会が積極的に疑惑を解明することが求められています。

自浄能力の発揮

 現職国会議員の起訴という新たな事態で、民主党の自浄能力の発揮がいっそう求められます。しかし、民主党は、国会への小沢氏の招致に反対し続けています。疑惑解明に背を向ける姿に国民から厳しい批判も起きています。

 民主党新人議員の一人は「このままでは政党政治が危機的だ。本来なら、党執行部で検討委員会をつくり、独自の調査と対応をすべきだ。しかし、検察批判のチームをつくるなど逆の動きになっている」と落胆した様子で語ります。

 また同党議員政策秘書の一人は「法的には責任はない(推定無罪)かもしれないが、政治的道義的責任は途方もなく大きくなっている。権力に酔う人たちは不起訴で『安泰』と思っているかもしれないが、足元はますますぐらつくだろう」と語ります。

 小沢氏の「不起訴」で疑惑の幕引きをはかることは許されません。小沢氏を国会が招致してただすことをはじめ、真相解明が引き続き求められます。



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