2010年2月5日(金)「しんぶん赤旗」
主張
小沢氏不起訴
国会での究明つくす正念場だ
国会での真相の解明と政治的道義的責任の追及が、いよいよ重要になる正念場です。
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、東京地検特捜部は現職の民主党衆院議員である石川知裕氏ら現・元秘書の政治資金規正法違反での起訴を決め、小沢氏自身については不起訴としました。しかし、これで事件の全ぼうが明らかになったわけでも責任が追及されたわけでもありません。第一、政治的道義的責任の追及は、刑事責任とは別です。小沢氏の不起訴処分で“一件落着”などというのは、絶対に許されません。
政治家としての責任は
石川氏や小沢氏の公設第1秘書である大久保隆規氏らが起訴された事実は、きわめて重大です。大久保氏はすでに準大手ゼネコン「西松建設」からの献金を個人献金と偽装した疑いでも公判中です。現・元秘書の刑事責任が追及されているのに、当の小沢氏が不起訴になったからもう責任がないでは、通用しません。不起訴になったのも嫌疑が「不十分」だからで、疑惑は残ります。政治家としての責任が問われるのは当然です。
しかも、検察が判断したのはあくまでも土地購入資金を政治資金収支報告書に記載しなかった虚偽記載の疑いです。「陸山会」の土地購入をめぐる疑惑はそれにとどまりません。なにより4億円近い巨額の購入資金の出所をめぐる疑惑があります。ゼネコンからの裏献金でまかなったとすれば、収賄の疑いさえあります。小沢氏のいうように家族名義の預金など「自己資金」だったとしても、所得税などの脱税の疑いがあります。疑惑はすべて解明し、小沢氏の責任を明確にすべきです。
もともと国会の「政治倫理綱領」は、疑惑を抱かれた政治家は自ら解明し、国民に説明するよう求めています。小沢氏の責任は重大であり、小沢氏にその責任を果たさせるのは、国会の責任です。小沢氏の招致など、国会での真相解明と責任追及は欠かせません。
とりわけ重大なのは、ゼネコンからの裏献金の疑いです。小沢事務所が「天の声」を出していたといわれるダム建設を受注したゼネコンから、土地購入の前後に裏献金したという証言まであるのに、検察の捜査では、疑惑は解明されていません。文字通り国民の税金を不当に“還流”させていた疑惑であり、政治の信頼の根幹にかかわる問題として、国会での徹底追及は欠かせません。
今回の事件に絡む小沢氏からの検察の聴取では、問題の土地購入の翌年、小沢氏が「陸山会」に入金した4億円の資金が小沢氏の「金庫番」といわれた人物から出たもので、政党助成金などが原資となっている可能性も明らかになりました。小沢氏の資金疑惑をめぐる全体の解明が不可欠です。
民主党の自浄力問われる
小沢氏自身とともに問われるのは、民主党と鳩山由紀夫首相の対応です。鳩山首相はこれまで、検察の捜査を「冷静に見守る」とするだけで、小沢氏に説明を求めることも党として疑惑を調査することもしてきませんでした。
いよいよ国会の場での究明が正念場を迎える中で首相と民主党が自浄能力を発揮できなければ、政治を変えたいという国民の願いをますます裏切ることになります。