2010年2月3日(水)「しんぶん赤旗」
核拡散・テロ対応重視
米国防計画見直し 軍事同盟強化へ
普天間「移設」合意履行強調
【ワシントン=小林俊哉】米国防総省は1日、オバマ政権で初めてとなる軍事戦略展開の基本方針「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)を発表しました。「(同時に)二つの国を相手とした戦争を遂行する能力を維持する」とした「二正面作戦」の原則を維持しながらも、むしろ核拡散やテロリズムへの対応に重点を置き、「複雑で不確定な安全保障環境」に対処できる能力、機構の構築を掲げました。
政治・経済・軍事の力関係が変化し、中国やインドの台頭で「(世界は)米国が最も強力なアクター(行為者)ではあるが、同盟国との協力を強めなければならないような国際関係」に向かっていると規定。米国が「比類ない能力をもった軍事力」を維持し、(1)アフガニスタン、イラクでの戦争の勝利(2)紛争の予防と抑止(3)さまざまな緊急事態に幅広く対応(4)軍の志願制の維持―を優先課題としました。
軍事同盟を「米国の国防戦略の中心要素」と位置付け、日米同盟と米韓同盟を「米軍のアジア展開の基礎」と強調。日韓両国と協力して「地域的、地球規模の包括的同盟の構築」「兵力の再編」「集団的抑止と防衛能力の強化」に努めるとしました。
米軍普天間基地の「移設」について、「日本政府と、引き続きロードマップ合意の実行を果たしていく」として、「合意履行」の立場を強調しました。
「核のない世界」の実現までは核戦力を維持するとし、日韓両国への「拡大抑止の提供」を明記しました。