2010年2月1日(月)「しんぶん赤旗」
ゆうPRESS
就活 まだ間に合う
就活(就職活動)に奮闘中のみなさん。学校の就職課に相談してみましたか? 中小企業を中心にまだ求人があるようです。一度相談してみてはいかがでしょうか。(染矢ゆう子)
「不採用」30社超
「4年生の6割の就職先が決まっていません」。京都府の私立大学に通う男子学生(21)は言います。すでに3年生が就職活動を始めています。一昨年の9月から就職活動を始め、1年4カ月が経過しました。30社以上から「不採用」の連絡が届きました。
「どこもかしこも募集人数が少ない」と男子学生。先日受けた、大学事務職員の求人には、10人の募集に1200人が押し寄せました。
私鉄なども若干名の募集でした。JRは1000人規模の採用でしたが、書類選考や筆記試験の段階で落とされました。
大手就職情報会社のインターネットの求人専用サイト(ナビサイト)で、現在も募集している求人は居酒屋やパチンコ、派遣会社など「働く環境が不安」なものばかりになりました。
内定を得ていない4年生の半数ぐらいは就職活動を続けていますが、あきらめて「フリーターになろうかな」と言う人、留年することや大学院や専門学校への進学を決めた人もいます。
求人4000件 学生数より多い
就職課へGO
困り果てた男子学生は、就職課に相談しました。
「就職課には、4000件の求人があり、最近も新しい求人が来ています。今、頼りになるのは就職課です」
こう話す男子学生は1月中旬、就職課の紹介で製紙工場の面接に臨みました。
「4年生にはナビサイトに向かうだけでなく、就職課を活用してほしい」と話すのは、中央大学(東京都)の丸太初太郎キャリアセンター部長です。
現在の就職活動には、ナビサイトの活用は欠かせません。企業情報を検索できるほか、エントリーや会社説明会の予約ができ、合否結果も届きます。
しかし、求人企業がナビサイトに登録するには、費用が何百万円もかかります。
そのため、大学の就職課に求人を申し込んでくるのは、採用にお金も人もかけられない中小企業が多いといいます。
中央大学には、4年生の学生数を優に超える企業の求人が来ているそうです。
「名前を知らなくても有名なテレビの心臓部をつくっているメーカーなど、中小企業には優良企業はたくさんあります」と丸太さん。就職先として中小企業にもっと目を向けてほしいと言います。
中小企業の魅力
会長さん「主体的にやりがいある仕事できる」
それでは、中小企業はどんな思いで新規学卒者を採用したいと考えているのでしょうか。
新卒者を積極的に採用しているヒロハマは缶のキャップや取っ手などをつくる専門メーカーで国内シェアトップを誇ります。15年前から新卒採用を始めたことで、経営の改善がはかられたといいます。
同社の広浜泰久会長(中小企業家同友会全国協議会幹事長)は「新卒の学生が入ることで、例えば納期遅れを解消するなどのしくみが一つひとつつくられていきました」と話します。現状を固定的にみない若者らしい柔軟な発想で、在庫管理や発注管理のしくみがつくられ、以前、月に300件あった納期の遅れが今では年5、6件に減りました。
採用を継続することで、前年採用した新卒者が教える立場になり、企業が活性化するようになったといいます。
中小企業の魅力について、広浜さんは「中小企業では、自分が何かしないと先が見えてきません。それだけに、主体的にやりがいのある仕事をつくっていくことができる」と話します。
広浜さんは魅力的な就職先を見つけるために、合同企業説明会にどんどん参加して、経営者に経営理念を聞いてみようとアドバイスします。「経営理念に共感するものがあり、その理念にもとづいた経営がされていれば、やりがいのある仕事ができるはずです」
中小企業家同友会 「良い会社、良い経営者、良い経営環境をつくろう」を目的とする経営者集団。「JOBWAY」という検索サイトで企業の資料請求ができ、合同企業説明会や会社説明会の案内を行っています。
正社員ふやす社会を
学生の厳しい就職難を真に解決するには、政府がもっと積極的に、長期間の就職活動を強いる採用制度の見直しや正社員が当たり前の雇用のルールの確立など対策を強化しなくてはなりません。
日本大学の牧野富夫名誉教授は次のように指摘します。
「財界・大企業は、格差をなくす名目で正社員の年功賃金と終身雇用制度をなくそうとしています。これでは、景気が回復しても、正社員の採用を抑える傾向は変わりません。学生の深刻な就職難を解決するためにも、財界・大企業のこうした姿勢を変えさせる必要があります」
交通費20万円 女性不採用
記者は就活中の学生に「就職活動で一番苦労すること」を聞きました。こんな答えが返ってきました。
「セミナーの予約が取れない。予約開始後すぐに満席になってしまいスタートラインにも立てない」
「説明会から、いつも笑顔でいないといけないので疲れる」
「うけまくりすぎて、どの会社も同じようにみえてくる。だから面接でもあたりさわりのないことをいつもいってしまう。そして落ち続ける」
「説明会や面接の交通費が合わせて20万円ぐらいかかった。バイトもできないので痛い出費」
「エントリーしたら『女性は採用しませんので取り消します』と連絡が来た。納得できない」
「エントリーシートで落とされ、面接にもすすめない。選ばなくても就職できない」
お悩みHunter
彼との「差」を埋めるには?
Q 大学の同じサークルメンバーの彼と付き合いはじめて1年が過ぎました。彼は明るくて、みんなに好かれます。私も尊敬しています。一方私は、すぐに落ち込むし、友だち付き合いも苦手。ときどき、彼との埋められない「差」を感じてしまいます。彼との「差」を埋めるにはどうしたら良いでしょうか?(21歳、女性)
その「差」を楽しんじゃおうよ
A 彼のことがほんとうに好きなのですね。
ここは一つ、彼との埋められない「差」を楽しんでみてはどうでしょう。
その「差」をおもしろがってみてはどうでしょう。
埋められない「差」を感じることはすてきなことだと思います。
あなたと彼は、生い立ちも性格も性別も違います。「差」があって当然だと思いませんか。
あなたは、彼のどこにひかれていますか?
自分には持っていない、自分とは違う彼独自の人格にひかれてお付き合いしているのではないでしょうか。
ならば、彼もあなた独自の人格にひかれてあなたとお付き合いしているのだと思います。
一度、彼に「私のどこが好き?」と聞いてみてはどうですか。
すぐに落ち込むのも、友だち付き合いが苦手なのも、彼との埋められない「差」を感じ悩むのも、すべてあなた独自の愛すべきすてきな魅力だと私は思います。それぞれにないものをもつ相手にひかれ、尊敬し合いお付き合いしている。二人はすてきなカップルだと思います。
それでも、あなたが彼との「差」を埋めたいならば、彼の真似をして「差」を埋めることを楽しんでみるのも良いかも…。
大事なことは、あなたが自分自身を卑下せず、認めてあげることです。
舞台女優 有馬 理恵さん
「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。
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