2010年1月30日(土)「しんぶん赤旗」
中国人実習生は労働者
人権侵害認定 賃金支払い命じる
熊本地裁判決
外国人研修・技能実習制度で来日し、熊本県天草市の縫製会社で実習をしていた中国人実習生4人が、不当な強制労働を強いられたとして、会社、1次受け入れ組合、国際研修協力機構(JITCO)に未払い賃金や慰謝料を求めている裁判で29日、熊本地裁(高橋亮介裁判長)は、外国人研修・実習生裁判では初めて1次受け入れ組合の責任を認めました。
判決では、パスポートや預金通帳の取り上げなどについて「人格権を侵害するもの」と認定。組合と会社に連帯して原告1人につき110万円を支払うよう命じています。労働基準法が適用されないとされてきた来日1年目の研修生時代でも労働者性を認定。縫製会社の残業代不払いについて、約140万円から192万円を支払うよう命じています。しかし、JITCOについては責任を認めませんでした。
判決後“勝訴”とともに中国語で“私たちは奴隷ではない”と書いた垂れ幕を前に、判決のために来日した劉さん(25)は「すごくうれしい。熊本の優しい皆さんが応援してくれた。全国の研修・実習生の権利を守るためにもよかった」と話しました。女性(22)はうれし涙を流しながら「とにかくうれしい」と語りました。
判決後、弁護団は、声明を発表。判決を評価し、「制度」が改正されたものの「国際貢献のための制度という建前による労働力供給というひずんだ構造そのものは温存されている」として、多くの研修・実習生の救済のため引き続き全力を挙げる決意を表明しました。
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