2010年1月29日(金)「しんぶん赤旗」
米兵犯罪 賠償せず
判決から1年半 除隊・不明 横須賀
日本政府、補てんも進まず
米海軍横須賀基地の米兵が夜通し飲酒し、料金を請求したタクシー運転手に暴行を働き重傷を負わせた事件(2006年9月)で、横浜地裁が米兵に135万円の損害賠償を命じる判決(08年8月)を出したにもかかわらず、1年半たったいまも被害者に賠償金が支払われていないことが分かりました。
検察は米兵を強盗傷害ではなく軽い傷害罪として起訴。米兵は刑を終えましたが、除隊し行方不明だといわれています。
米兵が公務外で起こした事件・事故には米軍は損害賠償ではなく低額の見舞金程度の「補償金」で対応しています。1995年の沖縄の少女暴行事件を契機に、「補償金」と判決が命じた損害賠償額との差額は日本政府が補てんすることになりました。しかし米側が金額を決めて支払うまで日本政府は差額を支払えないとしています。南関東防衛局は「米側と調整中。米側はまだ固まっていない」といいます。
高橋宏弁護士は「いつ支払うかは米軍次第になっているため、判決が出ても支払われないという普通の裁判では考えられない異常が続いている。これでは米軍被害者は救済されない」とのべました。