2010年1月26日(火)「しんぶん赤旗」
自民党大会
古い政治の代弁者
9条改憲・消費税増税・米軍基地建設
24日の自民党大会は、政権退場の審判から4カ月半、国民注視の通常国会真っただ中で開かれた大会でした。しかし同党が示したのは、これまでの自らの政治への無反省であり、「政治を変えたい」という国民の願いに逆らう姿です。
「国民の厳しい批判を私たちは真摯(しんし)に受け止め、反省しなければならない」。大会で採択した2010年運動方針には総選挙惨敗の「反省」はあります。
しかし、惨敗の原因は「自民党の理念や政策に間違いがあったというよりも、長年政権与党であったおごりと、過去の教訓が生かされないままの党運営、新陳代謝がない候補者選定などに対し、多くの国民が不信感を持ち、国民の信頼を失った」というもの。貧困と格差を広げた「構造改革」路線など、公明党とともに推進してきた自らの政治は“正しかった”と正当化しているのです。
政党の劣化
大会では新たな綱領も採択しました。問題点や限界をはらみつつも国民要求を反映した新政権の政策を「国民の自立心を損なう社会主義的政策」と激しくののしり、自らを「進歩を目指す保守政党」などと定義付けているのが特徴です。退場の審判が下された政治路線をきちんと分析できず、国民の切実な要求も受け止められない自民党の姿は、政党の劣化を物語っています。
そのことは、自民党が運動方針で掲げた中身をみるといよいよはっきりします。
「『安心』の構築」といいながら、低所得者に重くのしかかり、貧困と格差をいっそう広げる消費税増税を主張。また「在日米軍の再編を着実に実施し、抑止力を維持する」と明記。沖縄県民の願いを無視し、沖縄に新基地建設を押し付けようとしています。
さらに、「憲法9条をはじめとする憲法改正を視野に入れ、時代の変化に迅速かつ的確に対応した外交・安全保障政策を展開する」として、海外派兵恒久法の制定、憲法改定を要求。侵略戦争を肯定・美化する靖国神社の参拝も「受け継ぐ」としています。
疑惑の温床
自民党は、通常国会の論戦で小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体の土地購入疑惑などをとりあげていますが、疑惑の温床となっている企業・団体献金は「悪だとは思っていない」(大島理森幹事長)との立場です。ここでも無反省です。
いま国民の要求に耳を傾けるなら、異常な対米従属、大企業・財界の横暴な支配という「二つの異常」をどうただすのかが問われています。
自民党が運動方針と新綱領で示すのは、「二つの異常」を特徴とする古い政治の代弁者としての姿です。これでは、「国民と党の『きずな』を大切に、信頼に堪え得る党の再生」(谷垣禎一総裁)は困難であると言わざるを得ません。(若林明)