2010年1月26日(火)「しんぶん赤旗」
主張
名護市長選結果
基地なくす新しい流れ大きく
米海兵隊普天間基地の撤去に絡む新基地建設を焦点にした沖縄県名護市長選で、新基地建設反対、基地に依存しない地域振興をかかげた稲嶺進氏が当選しました。
選挙結果は、名護市辺野古への新基地建設を押し付けてきた日米両政府に対する断固とした審判であり、戦後60年以上も沖縄県民に犠牲を強いてきた政治の責任を問うものとなっています。民意に従って新基地建設計画を断念するとともに、「基地のない沖縄」「基地のない日本」へ大きくふみだすことが求められています。
幅広い団結広げて
稲嶺氏の勝利は、「新基地はいらない」「基地に頼らない振興を」の要求で、広範な保守・無党派の方と、日本共産党や革新勢力が共同を広げた成果です。総選挙で自公政権を退場させた「政治を変えたい」との国民の思いが、政治を動かしていることがあらためて証明されました。
普天間基地をはじめ沖縄の多くの基地は、米軍が沖縄を占領し住民を収容所に入れている間に土地を奪って建設し、「銃剣とブルドーザー」で拡大してきたものです。県民が基地の返還を切望してきたのに、60年以上も異常な軍事基地集中の痛みを県民に押し付けてきた日米両政府の態度が、市長選で批判されたのは当然です。
朝日新聞が行った投票所での出口調査では、市民の73%が新基地に反対です。稲嶺候補に投票した人も投票しなかった人も、圧倒的多数の市民が新基地にノーをつきつけていることは明らかです。
普天間基地は米国防長官ですら「世界一危険」と認める危険な基地です。どこかに移設すれば解決するというものでないことは明白です。名護市民の気持ちは、すべての沖縄県民と共通です。基地をたらい回しにする「移設条件付き撤去」の路線は破たんしており、普天間基地問題は無条件返還を求めることでしか解決できません。
基地か振興かの問題ではありません。現職候補は新基地建設とひきかえに国からの支援で地域を振興するとの立場をとってきました。しかし基地を認めては本当の振興はありません。名護市では新基地受け入れの見返りにこの11年間に386億円もの巨額の振興予算を受け取っているのに、振興が進むどころか市民の生活も地域経済も衰退しているのが実態です。
基地関連の振興予算を使った公共事業では特定の企業と本土のゼネコンだけがもうかり、地元の建設会社も倒産し、商店街もシャッター通りといわれるありさまです。失業率は2けたに達し、市の借金は08年度には220億円にふくらんでいます。事態は「基地依存」を続ける限り、地域経済の振興も発展もないことを示しています。基地をなくしてこそ地域経済を活性化できるのは明らかです。
基地なくせの声広げて
新基地建設にノーを突きつけた名護市長選の結果について、鳩山由紀夫首相は、「ゼロベースで移設先を検討する」というだけで、「移設条件付き」の態度に固執しています。北沢俊美防衛相は辺野古も「選択肢として排除しない」とのべました。基地なくせの県民の願いに背を向ける態度です。
名護市長選の結果は、「基地のない沖縄・日本」をめざす希望ある流れです。沖縄と本土が連帯を強めた一大運動がいよいよ重要です。