2010年1月25日(月)「しんぶん赤旗」
光見え、天に昇るよう
抱き合う辺野古住民
基地反対13年、喜びの三線
名護市長選
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投票時間が終わった瞬間の歓喜でした。24日に投開票され、新たな基地はつくらせないと訴えた稲嶺ススム(進)候補が勝利した沖縄県名護市長選。米軍新基地建設地の辺野古地区にあるススム候補の後援会事務所では、「光が見えた」「天にも昇るよう」と支援者らが声をうわずらせました。そしてカチャーシーが流れ始めました。
「あと3分。長かったねえ」。投票終了の午後8時を迎えるのを前に辺野古地区の入り口にある事務所ではこんな会話が交わされていました。事務所内には20人ほどのおじいやおばあが果物やお菓子をつついていました。これから開票を待つ緊張した時間が始まるという空気が支配していました。
しかし、空気は一変しました。「出てるよ」「通ったってよ」。テレビの当確速報に興奮した声をきっかけに、事務所はわきかえりました。パイプいすに座っていたおばあの手にはお菓子の代わりにティッシュが握られました。13年間、基地建設に反対してきたおじいの目は赤くなっていました。
「辺野古に基地は必要ないという、これが市民、県民、国民の心。これまで住民が真っ二つにされてきた。これを機会に修復してほしい」。基地建設が持ち上がった当初から反対してきた「命を守る会」初代会長の西川征夫さん(65)はこう語り、何度もバンザイを繰り返しました。
一人また一人と支援者が駆けつけるたびに事務所は歓喜に包まれました。島袋妙子さん(82)は抱き合って喜びを分かち合いました。「今まで振興策と言われたけれど市民には何の利益もなかった。将来未来を考えると、おばあのせいで基地ができたといわれなくて済んだ」
新基地反対でテントに座り込みを続ける嘉陽宗義さん(88)は「これで、軍事基地で争うことがなくなる。何とも言えない」と笑いました。
あわてて張り出された横断幕には「祝 新市長未来へススム」と書かれていました。そして三線が鳴り出し、カチャーシーが始まりました。
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