2010年1月25日(月)「しんぶん赤旗」
名護市長選・稲嶺氏の勝利
基地ない沖縄・日本 強烈なメッセージ
日米安保改定から50年の2010年1月24日、名護市長選での米軍新基地建設を許さない稲嶺進新市長の誕生は、沖縄と全国、さらに世界に向けた「基地のない沖縄・日本」という強烈なメッセージです。
米軍基地縮小という世界の平和の流れのなかで、米軍基地推進の自公政権にノーをつきつけた昨年8月の総選挙、県内「移設」に反対し、普天間基地の返還を求めた11月の2万1000人が集まった県民大会に続く、画期的な勝利です。
立場を超えて
「辺野古に基地はつくらせない、基地問題に終止符を打とう」「基地に頼らない新たな振興策で、市民による自立的持続的な街づくりを」「公正公平、透明な市政を」―。選挙戦で日を追うごとに力強く明確に訴え続けた稲嶺氏。同氏の勝利に向けて、保守と革新が立場の違いを超えて結集したたたかいは、多くの市民の共感と支持を加速度的に広げて一体感を生みました。
一方、市民の願いに反して最後の最後まで基地問題を争点からそらし続け、「基地振興策」や、不公平不透明な市政運営に少しも反省をのべなかった現職陣営。癒着関係にある地元企業、業者を中心とする動員、地域の締め付けを執拗(しつよう)に展開しましたが、こうしたやり方に市民からの断罪が下りました。
稲嶺氏の勝利は、基地推進・容認の政治勢力と利権集団にも痛打を与えることになります。
いまだに辺野古など沖縄県内「移設」に固執している日米両政府は、この強烈なメッセージをどう受け止めるのでしょうか。
撤去へ交渉を
「名護市民の思いもしんしゃくしながら、最終的な結論をできるだけ早く導くように努力したい」(15日、首相官邸)と鳩山由紀夫首相はのべました。であるなら「基地はつくらせないというメッセージを県にも国にもつきつける」と表明して誕生した稲嶺新市政に込められた、多くの民意を重く受け止めるべきです。
鳩山首相は、在日米軍基地を「抑止力」として肯定する「基地のたらい回し」路線を一刻も早く転換し、「世界一危険」だと米側が認める普天間基地の即時閉鎖・撤去に向けた本腰を入れた対米交渉を始めるべきです。
それが保守・革新の立場を超えた多くの県民・国民の願いです。(洞口昇幸)
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