2010年1月23日(土)「しんぶん赤旗」
君が代不起立
氏名収集は不適切
神奈川個人情報保護審査会 3度目の答申
神奈川県個人情報保護審査会(矢口俊昭会長・神奈川大大学院教授)が入学式などの「君が代」斉唱時に起立しなかった教職員の氏名等を県教育委員会が情報収集することは適切でないとする答申を出したことが22日までに分かりました。
同審査会は2007年10月、情報収集が県個人情報保護条例に反し適切でないと判断。県教委は収集を続けるため同条例のただし書きを根拠に県個人情報保護審議会に諮問しましたが、収集を「不適」とする答申が08年1月に示されました。
しかし県教委は答申に従わず、08年3月の卒業式から収集を継続しました。
今回の審査会答申は収集された情報について「過去において日の丸・君が代が果たしてきた役割を踏まえた、異議申立人の一定の思想信条を推知し得る情報」として、これまでと同様、同条例6条で取り扱いを原則禁止としている情報だとの見解を示しました。
また県教委が審議会答申に反し情報を取り扱うことにした十分な理由を示していないとして「同条ただし書に基づき例外的に取り扱うことができる情報には該当しない」と踏み込む判断をしました。
教職員23人が同条例違反だとして収集・利用決定の取り消しを県に求める裁判の原告弁護団の阪田勝彦弁護士は「3回目の『ノー』が示されました。県は答申に従い、ただちに情報を廃棄し、これ以上、収集するべきではありません」と述べています。