2010年1月23日(土)「しんぶん赤旗」
土地購入疑惑
首相の発言 右往左往
小沢氏擁護の姿勢は貫く
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体の土地購入疑惑をめぐって、鳩山由紀夫首相の発言が揺れ続けています。
真相究明を求める国民世論の高まりに右往左往している様子がうかがえます。
「訂正」しても
小沢氏の元秘書・石川知裕衆院議員が逮捕された15日に首相は「事態の推移を見守りたい」とコメント。ところが21日になって「起訴されないことを望みたい」と露骨に検察の捜査に圧力を加えました。行政の長が、司法に介入する発言をするのは異常です。
22日の衆院予算委員会で野党から追及された首相は、「検察に介入する意図はない。もし、誤解を与えるのであれば撤回する」と述べました。
16日に小沢氏と会談した際にも首相は、「私も小沢幹事長を信じている。どうぞ戦ってください」と発言し、その後、訂正。しかし、首相が小沢氏を擁護する姿勢は、この間の発言を見ると一貫しています。首相が「政治とカネ」の問題に真摯(しんし)に向き合っているのかと疑わせます。
首相の自覚は
昨年3月、民主党代表だった小沢氏の大久保隆規秘書が逮捕された際、幹事長だった鳩山氏は「国策捜査だ」と口走った“前歴”もあります。しかし、野党の幹事長と行政府の長である首相の立場は違います。この間の二転三転する首相の発言は、その自覚が問われる重大なものです。
一方、「政治とカネ」疑惑の主役を務める小沢氏自身も、16日の民主党大会で検察との全面対決を宣言。18日には遊説先の福井市で「去年の3月の事件の後も、ずっと全国を回って皆さんの理解をいただき、そして政権を負託された」と述べ、昨年の総選挙で“みそぎ”は済んだと言わんばかりの態度です。
首相(党代表)と幹事長という最高幹部の疑惑に、民主党は政党としての自浄作用を発揮できるのか、厳しい視線が注がれています。
(松田繁郎)
小沢幹事長の疑惑をめぐる鳩山首相の発言
「(石川知裕衆院議員逮捕で)事態の推移を見守りたい」(15日)
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「私も小沢幹事長を信じている。『どうぞ戦ってください』と申し上げている」(16日)
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「幹事長続投を認めたという意味で申し上げたのだから、不適切とは思っていない」(17日)
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「身の潔白を信じていくという話だ。『戦う』という以上、逃げない」(18日)
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「潔白を信じるのが同志としての基本だ」(19日)
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「捜査の行方を冷静に見守るべきだ」(20日)
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「(石川議員が)起訴されないことを望みたい」(21日)
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「検察に介入する意図はない。もし、誤解を与えるのであれば撤回する」(22日)