2010年1月23日(土)「しんぶん赤旗」

主張

小沢氏の資金疑惑

国民と国会に説明すべきだ


 自らの資金管理団体の土地購入に絡む政治資金収支報告書の虚偽記載事件で現・元の秘書が逮捕され、資金の出所をめぐっても疑惑がもたれている小沢一郎民主党幹事長が、東京地検特捜部の事情聴取を受けることになりました。

 任意の事情聴取に応じてこなかった小沢氏が聴取を受け入れたのは、捜査の進展と世論の批判によるものです。しかし、検察の聴取を受ければそれでおしまいではありません。自ら国民に疑惑を説明するとともに、国会も小沢氏の参考人招致を実現するなど、真相究明の努力が不可欠です。

検察と国会は車の両輪

 すべての国会議員に義務付けられている「政治倫理綱領」は、「政治倫理の確立は、議会政治の根幹である」として、「主権者たる国民から国政に関する権能を信託された代表であることを自覚し」「いやしくも国民の信頼にもとることがないよう努めなければならない」と定めています。とりわけ、「政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれた場合」には、「みずから真摯(しんし)な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにする」としていることは重大です。

 衆院議員である小沢氏にこうした責任を果たさせるとともに、必要なら国政調査権も行使して、疑惑を解明するのは国会の責任です。かつて首相が外国の航空機会社から賄賂(わいろ)を受け取り「総理の犯罪」が問題になった1976年のロッキード事件では、国会を構成していた共産、自民、社会、公明、民社の5党党首の合意で真相の徹底究明、政治的・道義的責任追及などの「議長裁定」が出されました。日本共産党の志位和夫委員長がテレビ番組で改めて強調したように、検察の捜査と国会での追及は“車の両輪”です。

 小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地取引に絡む疑惑は、秘書が逮捕された政治資金収支報告書の虚偽記載に小沢氏がどうかかわったのか、土地代金の出所といわれる小沢氏の「個人資産」がどのようにして形成されたのかなど、小沢氏自身による疑惑の解明が不可欠なものばかりです。収支報告書の提出は秘書任せだったなどという言い訳は通用しません。資金の流れや虚偽記載は小沢氏が了承していたという報道もあります。

 小沢氏の資産の一部はなくなった父親から引き継いだもので、銀行に預けてあった資金を引き出し、自宅に保管してあったという説明がありますが、小沢氏が国会議員として公開が求められている資産報告書には、これまでこうした資産がまったくでてきません。説明がごまかしなのか、相続税や資産報告書の処理はどうなっていたのかなど、疑惑は徹底して明らかにされるべきです。

政治的道義的責任を問う

 土地購入の資金の一部に、小沢氏のもとへのゼネコンなどからの裏献金があてられていたのではないかというのは、疑惑の核心です。小沢事務所が公共事業の発注に「天の声」を行使していた“見返り”ともいわれています。

 公共事業費は国民の税金です。税金の使い道を国民が監視するのは当然で、国会は国政上の重要課題として、小沢氏の疑惑解明に取り組むべきです。司法が闇献金を立件するかどうかにかかわりなく、小沢氏の政治的道義的責任が厳しく問われるのは当然です。


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