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2010年1月14日(木)「しんぶん赤旗」

どうすすめる温暖化防止 COP16へ(中)

国あげて厚みある対策

デンマークの経験


国民と企業の意識の変化が

 川合きり恵弁護士 先進国が温暖化対策に率先して取り組むという点で、デンマークの経験は、やはり貴重だなと思いました。デンマークでも最初から環境意識が高かったわけではなく、1970年代の石油危機までは、石炭や石油に100%近く頼っていたそうです。ところが石油危機で石油が入ってこなくなり、日曜は車もストップする状態になったといいます。

 そこで政府は原発に頼るという方針を打ち出したのですが、国民が反対し、風力発電などでいくという方向になりました。今は電力の30%は風力ですが、今後は化石燃料をゼロにする目標をもっていると聞き、驚きました。環境税の導入に対しても、デンマークの代表的な企業が「新しいビジネスチャンスが生まれる」ということで、賛成したそうです。

 橋本良仁・公害地球懇代表団団長 デンマークは周辺諸国との悲惨な戦争の歴史を経て、19世紀に「国民高等学校」をつくるなど、平和的な国づくりの大きな指針ができてきました。そこで民主主義が培われ、慌てないで話し合うことが大事だとみんなが言うそうです。温暖化対策をみても、そういった歴史の中で、草の根の取り組みが積み重ねられ、徐々に花開いている感じがしますね。

学んだ子から親が教わって

 笠井亮衆院議員 公害地球懇の皆さんと一緒にクーゲ市の環境事務所を訪れて話を聞きましたが、日本の中学生にあたる7〜9年生を対象に「クライメートキャラバン」という環境教育をやり、2年間で全国を一巡したそうですね。目的の第一は「そこで学んだ子どもが親に教える」ことで、これが一番効果があるというんですね。説明してくれたオクセンバッドさんも、最初は子どもに教えてもらったと言っていました。

 自転車の普及もすごくて、コペンハーゲンの街中だけでなく、郊外でも自転車専用道がずっと続いている。こういう普段の取り組みがあるから、「COP15の結果がどうであれ、温暖化対策で先に進もう」ということになっているそうです。

50メートル幅大通りアピール多彩

 橋本 COP15も、コペンハーゲンだけでなくデンマーク挙げて成功させたいという雰囲気でしたね。中間日の土曜には「グローバル・アクション・デー」のデモが取り組まれました。「整然とした…」というのではなく、50メートル幅の大通りいっぱいを使い、みんな好きなことをやってアピールしていました。国会議事堂からベラセンターまで6キロを行進するのですが、私たちは午後1時すぎに出発したのに、3時間以上たってもベラセンターにたどりつかないありさまでした。私たちの後ろは地元の高校生が歩いていました。

 笠井 一昨年3月に日本共産党として欧州の温暖化対策の調査をした際も感じたことですが、欧州では、大量生産・大量消費・大量廃棄の社会ではなく、「持続可能な社会」をつくるというのが合言葉になり、確固として法的拘束力のある対策を進めています。今回のデンマーク訪問でも、そうした欧州の取り組みの厚みを実感しました。(つづく)


 デンマークの国民高等学校 自由と対話による相互作用を重視した全人教育をする、デンマーク独特の教育機関。1844年に開設。



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