2010年1月14日(木)「しんぶん赤旗」
陸山会の土地購入 強制捜査
原資 ゼネコン裏献金か
4億円どこから
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の不透明な土地購入疑惑で13日、陸山会など小沢氏関係先や大手ゼネコンが東京地検特捜部の強制捜査を受ける事態に発展しました。同日、小沢氏の私設秘書だった同党の石川知裕衆院議員も事務所の家宅捜査や任意聴取を受けており、事件は重大な局面を迎えています。(「政治とカネ」取材班)
「小沢さんはいろいろ不透明な資金の問題を抱えている。強制捜査は当然の流れだ」。西松建設の元中枢幹部は、実感をこめて語ります。
陸山会は2004年10月29日、東京都世田谷区深沢の土地を約3億4000万円で購入。同会の事務担当だった石川氏は、小沢氏の手持ちの現金4億円を同会の口座に入金して購入資金に充てたとみられています。
その支払い直後、4億円の定期預金を組み、それを担保に小沢氏名義で同額の融資を受けるなど、不可解な資金の流れが判明。これは、小沢氏からの4億円を隠すための偽装工作の疑いがあります。
重大なのは、土地購入に充てられた4億円の原資がどこから出ているのかということです。小沢氏の収入は、04年までの10年間でも合計約3億5千万円で、疑惑の土地購入代金に及びません。
特捜部が強制捜査に乗り出したのは、購入代金4億円にゼネコンからの裏献金が含まれていると判断したからだとみられます。
小沢氏への裏献金については、「しんぶん赤旗」日曜版に重機土木大手「水谷建設」(三重県桑名市)の関係者が、小沢氏の地元岩手県で建設中の「胆沢ダム」工事受注をめぐり04年10月と05年4月に各5000万円、計1億円を提供したと証言しています。
特捜部は、このうち04年10月の5000万円が、同月の陸山会による土地購入の原資の一部となった疑いがあるとみて、「胆沢ダム」工事に参入したゼネコン各社の担当者らを事情聴取していました。
13日に強制捜査を受けた業界最大手の鹿島は、「胆沢ダム」の本体工事を落札、水谷建設は下請けに入っていました。
鹿島は、長期にわたって東北地方の公共工事談合の取り仕切り役を務めてきたと指摘されています。その談合に小沢氏が「天の声」を出して大きな影響力を発揮してきたことは、西松建設偽装献金事件の大久保隆規被告(小沢氏公設第1秘書)の初公判で検察側が明らかにしています。
事態はすでに「秘書の責任」では、すまされないところにきています。
13日に開かれた大久保被告の第2回公判を傍聴した、元小沢氏秘書の高橋嘉信氏は、こう明言しました。
「秘書はすべて、そして細部にわたっても本人(小沢氏)の命令に従っているだけだ」
説明拒否 問われる小沢氏
「法に触れることをしたつもりはない。国民のみなさんも理解してくれると思う」―。民主党の小沢一郎幹事長は13日夜、自身の資金管理団体「陸山会」の土地購入問題をめぐり、同会などが家宅捜索を受けたことについて、こう述べました。しかし、みずからの疑惑について何の説明もせず、「理解」は得られません。
小沢氏は12日の記者会見で、土地取引について聞かれ、「関連したものであれば、いってください。いっぺんに答えますから」と質問を促しました。
計8人の記者が4億円の原資などについて、質問。なかには、「しんぶん赤旗」日曜版1月10日号が報じた水谷建設の裏献金についての質問もありました。
ところが、「じゃあ、お答えします」と始まった小沢氏の回答は、「捜査が継続中であり、いろいろと申し上げるのは差し控えたい」というもの。最初から説明する気がなかったのです。
4億円の原資はなんだったのか、土地購入代金を支払った後に、わざわざ4億円の定期預金をして、それを担保にして4億円の融資を受けたのはなぜか―など、小沢氏には明確に説明する責任があります。
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