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2010年1月13日(水)「しんぶん赤旗」

主張

2010国民春闘

国民的な共同で危機打開を


 「政治を変えたい」という国民の願いが、情勢を前向きに切り開く大きな力としてひきつづき作用しているもとで、2010年代最初の、10国民春闘がたたかわれます。

内部留保を社会還元せよ

 非正規雇用と失業者の増大、10年間で42万円以上も減少した年収、長時間労働と過労死・メンタルヘルスの悪化、中小企業と農林漁業の深刻な危機、地域経済の衰退、生活保護世帯や貯蓄ゼロ世帯の急増、12年連続で3万人を超えた自殺者、歯止めのかからぬ少子化―「構造改革」路線と大企業の横暴による労働者・国民の状態悪化は、消費縮小と経済危機の悪循環を引き起こしています。新政権は有効な対処ができていません。

 企業に生活できる賃上げを要求するとともに、新政権に最低賃金の大幅引き上げ、抜本的雇用対策、労働者派遣法の抜本改正、中小企業支援、医療・年金・社会保障の拡充を求めなければなりません。

 これらの課題は、大企業に応分の負担をさせ、社会的責任を果たさせることなしに前進しませんが、新政権にはその姿勢がみられません。それだけに、賃上げや時短などの労働条件だけでなく、国民各層の要求、国民的課題をかかげて春闘をたたかってきた伝統をもつ労働組合運動への期待が高まっています。

 財界・大企業は、経済危機を口実に、今春闘では定期昇給の凍結まで言い出しています。労資協調主義の大企業労組も、賃上げ要求を自粛しています。

 企業の内部留保は、この10年間で209・9兆円から428・6兆円へと異常に急膨張しています。民間のシンクタンクである労働運動総合研究所の「危機打開のための緊急提言」によれば、その積み増し分だけでも、賃上げや時短、非正規の正社員化、法人税を元に戻すなどで労働者と社会に還元すれば、国内需要が263兆円拡大し、国内生産で424・7兆円の誘発効果があります。41・1兆円もの税収増も見込まれます。

 これこそ、外需頼みの不安定な景気回復の道でなく、国民生活と日本社会に安定した基盤をおく、健全な経済発展の道です。

 経済政策の手段をもっているのは、いうまでもなく政府です。しかし、新政権がまともな「経済戦略」をもたないもとでも、労働者・国民の切実な要求の実現のためにたたかい、「ルールある経済社会」へと一歩でも前進するなら、そのことが同時に、経済危機を打開する経済政策を新政権に実行させることにもなるのです。

 日本の労働組合運動は、平和と民主主義を守る政治的課題にも積極的に取り組んできました。

平和と民主主義の課題で

 10国民春闘を「基地のない沖縄」「基地のない日本」をめざし、日米安保の是非を問うたたかいの跳躍点とすること、議会制民主主義を破壊する「国会改革」や、衆院比例定数80削減の企てを打ち砕くことも大きな国民的課題です。

 全国労働組合総連合(全労連)をはじめとする階級的労働組合は、貧困と格差の拡大とのたたかいで、確固とした社会的地歩を築いてきました。国民的共同の要として経済闘争と政治闘争を結合してたたかい、2010年代を、労働組合運動の新たな高揚の時期とすることが期待されます。



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