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2010年1月12日(火)「しんぶん赤旗」

米原潜、17隻59回寄港

各自治体09年集計 異常な高水準続く


 米海軍の原子力潜水艦の日本寄港が2009年の1年間で17隻59回に上ったことが、寄港地を抱える各自治体の集計で分かりました。隻数は08年比で3増。回数は2減ですが、過去3番目の多さという異常な高水準が続いています。


 寄港地別の回数は、▽沖縄県のホワイトビーチ32回(08年比9減)▽神奈川県の横須賀基地17回(同8増)▽長崎県の佐世保基地10回(同1減)―となっています。(寄港地はいずれも米海軍基地)

米戦略を具体化

 09年の原潜寄港をめぐる大きな特徴は、米軍戦略の具体化が一層進んだことです。

 テロなどとの「長期戦争」を宣言した06年の米国防総省「4年ごとの国防政策見直し」(QDR)は海軍力の分野で、特殊作戦と巡航ミサイルによる精密誘導攻撃の能力強化を重視。太平洋地域での軍事態勢強化を打ち出し、10年末までに潜水艦の60%を同地域に重点配備することを決めました。

 その一環として、最大約60人の特殊部隊要員と最大約150発の巡航ミサイル・トマホークを収容できる誘導ミサイル型原潜オハイオが08年に日本初寄港。09年にはオハイオに加え、同型艦のミシガンも寄港を繰り返しました。

 また09年に日本に寄港したロサンゼルス級などの攻撃型原潜のうち4隻が、所属を大西洋艦隊から太平洋艦隊に変えた艦でした。

核持ち込み疑惑

 同時に重大なのは、米軍はロサンゼルス級攻撃型原潜の一部に核弾頭付きトマホークを搭載し、核攻撃態勢をとる方針を続けていることです。

 米議会の「戦略態勢委員会」の最終報告(09年5月)は「アジアにおいて拡大抑止は若干のロサンゼルス級攻撃型潜水艦の核巡航ミサイル=トマホーク陸地攻撃核ミサイルの配備に大きく依存している」と指摘しています。日米核密約に基づき、核兵器をひそかに積んだ原潜が日本に寄港している疑惑があります。

沖縄寄港が多数

 米戦略の具体化が進む中、ホワイトビーチへの寄港が近年増大しています。09年は過去最多だった08年(41回)に比べれば減っているものの、それでも過去2番目の多さです。

 ホワイトビーチには、08年に放射性物質を含んだ冷却水漏れで大問題になった原潜ヒューストンも、事件発覚後初めて寄港しました。(09年10月)

 沖縄県は外務省に対し、政府が安全だと判断した根拠、冷却水漏れへの処置の具体的内容などを明らかにするよう要求。しかし同省は「安全性を確認したという説明が米側からあった」というだけで、それ以上の回答を「安全保障上の理由」で拒否しました。

 ホワイトビーチを抱える、うるま市議会は09年、原潜寄港に反対し日米両政府の責任を問う意見書・抗議決議を3度にわたり可決しています。(3回目は11月30日)

 また横須賀では、09年11、12月にロサンゼルス級よりも大型のシーウルフ級原潜の寄港を可能にする13号バースのしゅんせつ工事も行われています。

 鳩山新政権の対応が厳しく問われています。

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