2010年1月10日(日)「しんぶん赤旗」
鳩山首相の新「日韓宣言」構想
“安保協力”韓国は望まず
「真しな謝罪なく一方的」
鳩山由紀夫首相が8日の記者会見で、「韓国併合」から100年にあたり日韓首脳による新たな共同宣言の実現に意欲を示したことについて、韓国政府は否定的な反応を示しています。日本側が宣言に安全保障分野での協力強化を盛り込もうとしていると報じられたためです。韓国内では、植民地支配をした日本と安保分野で協力を深めることに強い抵抗感があります。(中村圭吾)
「日韓共同宣言」構想については、日本の一部メディアが8日付で「安保面で具体的な協力強化を図る」と報道。鳩山首相は同日の記者会見でこのことを問われ、「李明博(イ・ミョンバク)大統領が今年、訪日される。これを契機に、これから日韓で協力していこうという機運が高まっている中で出てきた話だ」と述べました。
日韓両国間では1998年に、当時の小渕恵三首相と金大中(キム・デジュン)大統領が署名した「21世紀に向けた新たなパートナーシップ宣言」が基本文書となっています。
日韓間ではこれまで、安全保障分野に限定した共同宣言はありません。
日本での報道に対し、韓国メディアは、「そんな話は議論されたことがない」という青瓦台(大統領府)関係者のコメントを伝えました。
全国ネット局SBSは韓国政府の立場について、「安保という表現が入らない共同宣言であれば、未来志向の次元から論議しうるが、日本と安保同盟を結ぶのは国民感情からいって不可能」と説明。「真しな謝罪もなく、安保同盟だけを求める日本の構想は、日韓関係の新たな100年を始めるにはあまりにも一方的な要求で受け入れるのは難しい」と指摘しました。
三大紙の一つ東亜日報9日付は、「日本『100年だからやろう』。韓国『100年だからダメだ』」という見出しの記事で、日韓両政府の姿勢を対比しました。
同紙は、「日本は韓国との安保協力強化を望んできたが、実現の可能性は別問題。特に今年はそのような時ではないのではないか」との外交通商省関係者の発言を紹介。次のように指摘しました。
「両国の対応が全く異なるのは、韓日強制併合100年という敏感な年に対する両国の態度が相反するためだ。被害国の韓国は、世論の動向などを綿密に注視する必要があり慎重な半面、加害国の日本は、この機会に過去を振り払おうという内心がうかがえる」
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