2010年1月9日(土)「しんぶん赤旗」
有明養殖ノリ被害
「開門急げ」漁民悲痛
農水省に保護求める
佐賀県南西部の有明海で2009年末から現在まで養殖ノリの大規模な色落ち被害が発生している問題で、「よみがえれ!有明訴訟原告団・弁護団」は8日、「被害の原因が、(長崎県の国営諫早湾干拓事業潮受け堤防)調整池からの大量排水にあると強く疑われる」と指摘し、調整池からの大量排水の中止、原因究明と再発防止や潮受け堤防の開門による調整池に海水を導入することを農水省に要請しました。
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要請には、同原告の有明海沿岸漁民と馬奈木昭雄弁護団長、有明海漁民・市民ネットワークのメンバーら約十数人が参加。赤松広隆農水相あてに「有明海のノリ養殖漁業の保護に関する要請」書を提出しました。
漁民らは、被害発生の直前の昨年12月21日から29日にかけて潮受け堤防の南北両排水門から合計4回調整池の汚濁水が有明海に排水されたことを指摘。「調整池を潮受け堤防で閉め切っている以上、調整池内の淡水を有明海に排出し続けなければならず、このような被害は今後も継続的に起こる」と訴えました。
「7日に漁船約100隻を出したノリ養殖業者約300人の抗議行動の声をどううけとめているのか」「農水省は責任を感じているか」と迫りました。「早期開門を望む声は漁民の悲痛な叫び」だと、早期の潮受け堤防の開門を求めました。
農水省側は「09年1月に300万トンの排水後、赤潮、色落ちの原因となったと指摘があったので、(1回に)50万トン、100万トン、70万トンの排水にし、努力しており、今回のノリ色落ちの原因かどうかはわからない。複数の要因がある」と漁業被害の責任のがれに終始しました。
馬奈木弁護団長は「09年初めにも同様の被害があり、2年続けての被害だ。ずるずる被害がでていることを、いつまでくりかえすのか」と大量排水に抗議し、農水相と漁業者の面談実現と早期の開門を重ねて求めました。