2010年1月7日(木)「しんぶん赤旗」
再生エネルギー網設置へ
欧州9カ国が合意
風力・太陽光・水力…増産めざす
地球温暖化対策として注目されている再生可能エネルギーの供給安定へ向け、北海沿岸などの欧州9カ国が各国の再生可能エネルギーを高電圧ケーブルで結ぶ計画で基本合意したことが明らかになりました。
ドイツ各紙5日付などが報じました。昨年12月に合意に達したもので、ドイツ沖や英国沖の風力発電、北欧の水力発電、ベルギーなどの潮力発電を海底ケーブルで結ぶ計画です。
ドイツやデンマークなどは風力発電を陸上から海上に拡大していますが、風力発電は風の強弱に左右され、安定供給が困難です。送電網が完成すれば、風が強いときの風力発電のエネルギーをため、風が弱いときに蓄積した電力を使用することができます。また、送電網は欧州の再生エネルギーの統合と競争を進めるとしています。
同計画に参加するのは、ドイツ以外に、北海沿岸の英、仏、オランダ、ベルギー、デンマークのほか、ノルウェー、アイルランド、ルクセンブルクの計9カ国。さらにスウェーデンが参加するという報道もあります。
総事業費は300億ユーロ(約4兆円)の見込みで、10年以内に完成をめざし、今年末までに具体化します。
欧州連合(EU)は地球温暖化対策の一つとして、二酸化炭素などの温室効果ガスをほとんど発生させない、風力、太陽光、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーに力を入れてきました。再生可能エネルギーを2020年までに全体の発電量の20%とする方針を決めています。
すでにアフリカのサハラ砂漠での大規模な太陽熱発電計画「デザーテック」が、今後10年以内に電力供給開始を目指して具体化が進展しています。
北海の再生エネルギー網はEUとして2番目の再生可能エネルギーの大プロジェクトです。同計画が完成すれば再生可能エネルギー増産のEUの目標へ向け大きく前進することになります。(片岡正明)
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