2010年1月6日(水)「しんぶん赤旗」
豪、労働者守る新法施行
団体交渉を促進 2年の育児休暇
大きな一歩 労組歓迎
オーストラリアの前政権が導入し、労働者の団体交渉を厳しく制限するなど国民の批判を浴びてきた労使関係法(ワークチョイス)が昨年12月31日に全面廃止され、労働組合の権限を強化する新制度が今年1月1日から始まりました。
ワークチョイスは、ハワード前保守連合政権が2006年に導入したものです。
中でも、労働者が個人で会社側と結ぶ職場合意制度(AWA)は、労働組合を介した団体交渉を厳しく制限。残業、休日出勤、交代制勤務への割増賃金や解雇手当の切り下げなど、労働条件悪化をもたらすテコの役割を果たしてきました。
07年の総選挙では、労働法制の見直しを訴えた労働党が圧勝し、ラッド現政権が誕生。同政権は、09年3月にこれに代わる新法(フェアワーク法)を成立させ、同年7月に一部施行されていました。
同法は、団体交渉の促進などを任務とする機関(フェアワーク・オーストラリア=FWA)の設置のほか、最大2年間の育児休暇を認めるなど10項目の「全国雇用基準」(NES)と呼ばれるセーフティーネット導入も盛り込んでいます。
オーストラリア労働組合評議会(ACTU)は、1日の声明で「ワークチョイスから前進する大きな一歩だ」と歓迎を表明。労働者の仕事への満足感が増すことで生産性も向上し、「企業側の利益になる」と指摘しています。
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