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2010年1月6日(水)「しんぶん赤旗」

新たにマリコン偽装団体

運輸族議員に多額献金

くろしお会 政官業の癒着浮き彫り


 西松建設違法献金事件など、ダミー(隠れみの)政治団体を使った偽装献金が問題になっています。こうした企業献金を隠すために政治団体を悪用する手法が海洋ゼネコン(マリコン)業界でも広く行われていることが、本紙の調べでわかりました。港湾事業に強い影響力を持つ“運輸族”議員と業界の癒着ぶりが浮き彫りになっています。(矢野 昌弘)


写真

(写真)くろしお会と県港湾漁港建設協会の事務所が以前置かれていたビル(右側)。その隣のビルに現在、同協会が入居し、公正取引委員会の立ち入り検査が行われました=鹿児島市内

 本紙は昨年、マリコン業界の政治団体「さんそう会」(別項)が自民党運輸族議員に多額の献金を行っていた実態を明らかにしました。

 新たに判明したのは、鹿児島県選管届け出の政治団体「くろしお会」(2008年1月に解散届け出)です。

 同会は、鹿児島県の港湾工事の業界団体「鹿児島県港湾漁港建設協会」内に事務所を置いていました。くろしお会の代表は、同建設協会の会長である地元建設業者が務め、会計責任者には同協会専務理事が就任。歴代の専務理事は、鹿児島県庁の幹部OBが名前を連ねています。

 くろしお会は、旧運輸省港湾局OBの泉信也自民党参院議員に5年間(03年〜07年)で計267万円を献金。同じく港湾局OBで同党の渡辺具能前衆院議員に416万円(同)を献金しています。

 鹿児島県では、くろしお会を舞台にした政官業の癒着の一方で、公共工事の談合疑惑が浮上しています。

 公正取引委員会が09年11月、県発注の港湾工事で長年にわたり談合が繰り返されてきた疑いがあるとして大規模な立ち入り検査を行いました。

 県港湾漁港建設協会の事務所や協会に加盟する五洋建設や東亜建設工業の営業所など三十数社が検査を受けました。

 泉、渡辺の両氏は、公正取引委員会の検査対象となった同建設協会の会員企業からも多額の献金を受けています。

 泉氏は、五洋建設と東亜建設工業から3年間(06年〜08年)で計480万円。渡辺氏は地元企業11社から計1110万円(同)の献金を受けていました。

 今回、公正取引委員会の検査を受けた県内の企業関係者は「泉さんや渡辺さんが鹿児島で会合を開くたびに、関係企業には出席依頼がくる。2人が港湾局出身ということで、個人的には興味がなくとも出なければならなかった」と証言します。

 同建設協会は本紙の取材に「談合という話は当協会にはいっさい関係がないので、何も申し上げられない。くろしお会と同じ事務所だったが、もう解散した。港湾関係の予算獲得の面でいろいろと、お願いするためにいろんな方を応援していた」と答えました。

 本紙の取材に泉氏の事務所は「回答できる者がいない」と答え、渡辺氏側からは回答がありませんでした。

図

さんそう会

2億円以上献金

 くろしお会の組織や献金先の構図は、マリコン政治団体「さんそう会」に共通しています。さんそう会(総務相届け出)はマリコン大手の五洋建設と東亜建設工業の元役員が代表、運輸省港湾局OBが会計責任者という官民一体の政治団体です。

 自民党“運輸族”の有力者である二階俊博前経済産業相や泉氏、渡辺氏ら3氏側に2000年からの9年間で約2億1000万円の献金をしています。

 さんそう会の前身、港栄会は1971年に設立。鹿児島県との関係も深く、同会は同県選出で元運輸省港湾局長の故宮崎茂一衆院議員(自民党)に長年にわたって献金していました。



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