2010年1月4日(月)「しんぶん赤旗」
主張
安保改定50年
廃棄求める国民的議論の年に
沖縄の米軍基地問題や日米の「核密約」が国政の熱い焦点になり、日米安保条約=日米軍事同盟のあり方が問われるなかで、新しい年を迎えました。
基地問題などで明らかになっているのは、「日本を守る」とか「日米対等」などといってきた日米安保条約についての説明に、大もとから疑問が突きつけられていることです。1951年締結された旧安保条約を「対等なものに改める」などといって60年に改定してから半世紀です。日米安保条約は根本からその是非が問われています。
対米従属の軍事同盟
日米安保条約のもとで首都・東京を含む全国に85カ所もの米軍基地がおかれ、多くの国民が爆音被害や米軍犯罪に苦しめられています。日本に駐留する米軍は、海兵遠征軍、空母打撃群など、「日本防衛」とは無縁の干渉と介入が専門の「殴り込み」部隊です。
安保条約にもとづく日米軍事同盟は、世界にも異常な軍事同盟として、日本と日本国民に不平等性と危険性を押し付けています。在日米軍のための「思いやり」予算など、日本の財政も経済も安保の犠牲とされてきました。
こうした安保条約の害悪が集中しているのが、在日米軍基地の75%が集中する沖縄です。とりわけ住宅地のど真ん中に建設・拡張されてきた普天間基地(宜野湾市)は「世界一危険」な基地で、その無条件撤去は県民・国民が切望する待ったなしの課題です。
沖縄・北谷町の野国昌春町長は「沖縄の過重負担がこれからも続くのであれば安保条約の見直しが必要」と発言しました。宮城篤実・嘉手納町長も「廃棄であれ改定であれ、新たな議論を巻き起こしていただきたい」とのべています。
総選挙中は「沖縄県民の理解が重要だ」と口にしながら、選挙後は米軍の「抑止力」としての役割や「日米同盟」を盾に、無条件撤去を拒絶する鳩山由紀夫政権の態度は許されません。首相が「対等な同盟」というなら普天間基地の無条件撤去を正面からアメリカに求めるべきです。
安保条約のもとで日米両政府が取り交わしてきた「核持ち込み」などの「密約」も、安保条約の危険性と反国民性を浮き彫りにするものです。とりわけ安保改定時に日米両政府が結んだ「核密約」は、核兵器を積んだ米艦船や米軍機の日本への寄港や領海通過を認めるもので、唯一の被爆国の国民に対する重大な裏切りです。
鳩山政権は「密約」の調査を約束し、外務省は有識者委員会での検証を進めており、新年早々、その結果が発表される予定です。核兵器を廃絶するという国民の願いに応えるためにも、政府は「核密約」をはじめ、一切の日米密約を公表・破棄すべきです。
アジアの平和めざす
21世紀に日本が名実ともに独立と平和を取り戻していくには、従属性と侵略性に貫かれている日米安保条約=日米軍事同盟を廃棄することが不可欠の課題です。
安保改定50年の今年は、同時に日本が軍事的強圧のもとに朝鮮半島全体を「併合」してから100年の節目でもあります。日本は侵略と植民地支配を心から反省し、アジアの平和づくりに寄与する特別の責任があります。日米軍事同盟の廃棄は、東アジアの平和な環境をつくるうえでも重要です。